主な取り組み

廃棄物・副産物の削減と再生利用

キッコーマングループは、製造における歩留りや工程の改善などの施策を通して、排出される副産物(しょうゆ粕、しょうゆ油、果実の搾汁残さ、おからなど)や廃棄物(汚泥など)の削減に努めるとともに、廃棄物・副産物の再生利用・有効活用にも努めてきました。
2014年度に廃棄物・副産物の再生利用率が99.6%に達したことから、2015~2017年度の中期環境方針では、廃棄物削減に焦点を絞り、下記の目標を定めました。

2015~2017年度の中期環境方針目標

1

国内生産部門および海外主要生産部門の廃棄物原単位を毎年、前年度以下にする。

2

国内営業・間接部門の廃棄物排出量を毎年、前年度以下にする。

2015年度、

1

国内生産部門および海外主要生産部門の廃棄物原単位(0.0335t/t)は2014年度(0.0320t/t)比で4.7%上昇し、活動目標を達成できませんでした。

2

国内営業・間接部門の廃棄物排出量(0.33千t)は2014年度(0.32千t)比で3.1%増加し、活動目標を達成できませんでした。

廃棄物・副産物の再生利用の取り組み

1)しょうゆ粕(かす)の利用

「しょうゆ粕(かす)」は、しょうゆ諸味(もろみ)を搾って生揚げしょうゆをつくる際に搾りかすとして残る副産物です。
しょうゆ粕は、古くから燃料、肥料や家畜用飼料として利用されてきました。キッコーマンでも、以前は工場で使うボイラー用の燃料として利用していましたが、2004年から飼料としての有用性の研究を進め、2006年には工場にしょうゆ粕の乾燥設備を、さらに2007年にはしょうゆ粕の袋詰め設備を導入し、同時に販路の開拓・拡大も進めてきました。しょうゆ粕は、大豆由来の脂肪分、ビタミンEやビタミンK₁、イソフラボン類(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテイン)などの機能性成分を多く含むため、牛・豚・鶏用飼料に適しています。キッコーマン食品では、しょうゆの製造工程から排出されるしょうゆ粕のほぼ全量(100%)を、飼料として、飼料業者を通して畜産農家に提供しています。

しょうゆ粕飼料「キッコーマン フレッシュミール」

しょうゆ粕飼料「キッコーマン フレッシュミール」

しょうゆ粕飼料を食べる牛

しょうゆ粕飼料を食べる牛

また、2000年には、製紙メーカーとの協働で、非木材紙に混ぜて紙製品(用紙、名刺、便箋や封筒など)化する技術も開発しました。これらの紙製品は、事務用品として利用されています。

しょうゆ粕を混ぜてつくった用紙(便箋、封筒など)

しょうゆ粕を混ぜてつくった用紙(便箋、封筒など)

2)しょうゆ油(あぶら)の利用

圧搾直後の生揚げしょうゆには、大豆に由来する多量の油(しょうゆ油(あぶら))が含まれており、清澄タンクの中で貯えておくと、生揚げしょうゆの上部に浮かんできて、油の層をつくります。この「しょうゆ油」は、古くから燃料(江戸時代には「燈油」)やせっけんの原料、機械油として利用されてきました。

しょうゆ油で動かす専用ボイラー

しょうゆ油で動かす専用ボイラー

キッコーマン食品では、1994年以降、しょうゆの製造工程から排出されるしょうゆ油の大半を、カーボンニュートラルなボイラーの燃料として利用することにより、化石燃料の使用量の削減にもつなげています。

3)おからの利用(キッコーマンソイフーズ)

キッコーマンソイフーズでは、「調製豆乳」や「おいしい無調整豆乳」などの豆乳製品を製造・販売しています。
豆乳は、大豆をゆでた後に破砕し、搾って製造しますが、この際に残る搾りかすが「おから」です。

食品原料「おからパウダー」

食品原料「おからパウダー」

キッコーマンソイフーズでは、副産物であるおからを乾燥して粉末化させ、食品原料や飼料・肥料用素材として販売しています。

4)汚泥(おでい)の利用

キッコーマングループでは、工場から排出される排水を併設の処理施設にて浄化処理し、処理後に放流する河川などの汚染防止に万全の注意を払っています。この排水処理施設において、浄化処理する過程で発生する泥状の沈殿物や浮遊物が「汚泥(おでい)」です。

汚泥からつくられた発酵肥料

汚泥からつくられた発酵肥料

キッコーマン食品野田工場(千葉県野田市)と流山キッコーマン(千葉県流山市)は、排水処理施設から排出される汚泥のすべて(100%)を処理業者に委ねて発酵肥料化させ、小松菜やイチゴなどを栽培している農家などに提供しています。

汚泥発酵肥料で育てられた小松菜(2015年、茨城県)

汚泥発酵肥料で育てられた小松菜(2015年、茨城県)

汚泥発酵肥料で育てられたイチゴ(2015年、茨城県)

汚泥発酵肥料で育てられたイチゴ(2015年、茨城県)

このような汚泥などからつくった発酵肥料は、窒素やリンを多く含んでおり、こうした農作物の栽培に適しています。

また、キッコーマンバイオケミファ鴨川プラント(千葉県鴨川市)で排出された汚泥の一部については、圧縮加熱してスラグ化することにより、路盤剤など道路整備用の原料として利用しています(社会・環境報告書2011【詳細版】のp18に掲載)。

副産物の質の高い利用を目指した研究開発(キッコーマン)

キッコーマングループは、副産物の再利用における質の向上も重視しており、そのための研究開発にも努めています。
たとえば、しょうゆ油の養魚用飼料としての利用に関する研究開発もその1例です。キッコーマンの研究グループは、大豆に由来するリノール酸・オレイン酸から構成される脂肪酸エチルエステル(約59%)や遊離脂肪酸(約15%)を主成分とするしょうゆ油が、それまで養魚用飼料として用いられていた「いわし油」の代替品としての有効性だけでなく、さらに抗酸化活性や魚病細菌に対する抗菌活性などの機能性も備えていることを見出しました。この副産物の用途開発に関する研究は、専門家の方々からも高く評価され、2003年度の「経済産業省産業技術環境局長賞」を受賞しました。

養魚場でのしょうゆ油飼料の利用

養魚場でのしょうゆ油飼料の利用

マンズワインでのワイン製造工程から排出されるブドウの種子は、肥料として利用してきましたが、キッコーマンとマンズワインの共同研究グループは、ブドウの種子に含まれるポリフェノール(プロアントシアニジン)が強い抗酸化活性を持つことを見出し、この成分を効率的に抽出する独自の方法を開発しました。この研究開発の成果は、専門家の間でも高く評価され、1999年度の「農芸化学技術賞」を受賞しました。
また、日本デルモンテ長野工場(長野県千曲市)でのトマトジュースの製造工程から排出されるトマト果皮も、専門業者に委ねて家畜用飼料として再利用してきましたが、キッコーマンは未病医学研究センターとの研究開発を通して、ポリフェノール(ナリンゲニンカルコン)を含む果皮が花粉症の症状緩和に役立つ強い抗アレルギー活性を持つことを見出しました。

プロアントシアニジン(ブドウ種子ポリフェノール)

プロアントシアニジン(ブドウ種子ポリフェノール)

ナリゲニンカルコン(トマト果皮ポリフェノール)

ナリゲニンカルコン(トマト果皮ポリフェノール)

廃棄物・副産物排出量の削減や再生利用に関する個々の活動については、「キッコーマングループ 環境保全活動事例集」にまとめられています。

キッコーマンでは、今後、より一層の廃棄物排出量の削減とその再生利用を強く推し進めてまいります。