ポリフェノール

トマト果皮ポリフェノール(ナリンゲニンカルコン)

ナリンゲニンカルコン
ナリンゲニンカルコン

日本デルモンテと共同でトマトに含まれる機能性成分の研究を行い、トマトの果皮に強い抗アレルギー活性があること、そして、その主要な有効成分がトマト特有のポリフェノール「ナリンゲニンカルコン」であることを突き止めました1)。アレルギー反応にはヒスタミンが強く関与していますが、ナリンゲニンカルコンはヒスタミンが遊離するのを抑えることによってアレルギー反応を抑制すると考えられています。ナリンゲニンカルコンは、ジュースやケチャップ等に使われている加工用トマトに多く含まれていますが、生食用トマトには通常ほとんど含まれていません。

トマト果皮ポリフェノールの機能性

日本の代表的なアレルギーであるスギ花粉症の患者を対象とした臨床試験において、トマト果皮抽出物の効果を調べました2)。2002年に続き2003年にも同様の臨床試験を行い、いずれの試験においても自覚症状の改善が確認できました(図1)。また、花粉症の重症度と相関があると言われている血清中ECP値(アレルギー症状が起きた時に増加する好酸球の活性化状態を示す値)が、トマト果皮抽出物の摂取により対照群と比較して低下すること、特に、軽度の花粉症患者で有効であることがわかりました(図2)。なお、これら臨床試験において、トマト果皮抽出物の摂取による肝機能の異常や、眠気や喉の渇きなどの副作用を示す人は一人もおらず、安全性も確認できました。

さらに、トマト果皮抽出物の通年性アレルギー性鼻炎に対する効果について検討しました。その結果、トマト果皮抽出物の摂取により、摂取前と比較して鼻症状のスコアが改善されており、トマト果皮抽出物は通年性アレルギーにも有効であることが示されました(図3)3)

図1. 花粉症の自覚症状におけるトマト抽出物の効果(2002年)
スギ花粉症にかかったことのある男女11名に、花粉の飛散と同時にトマト抽出物を毎日360mgずつ1ヶ月間摂取させた。花粉の飛散がピークになった3月上旬には、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなど全ての項目で、明らかな改善効果が認められた。
図2. 花粉症被験者の血清ECP量におけるトマト抽出物の効果
スギ特異的IgEの抗体価がクラス0-3の被験者(比較的軽症者)21名に、花粉の飛散開始1週間前よりトマト抽出物を毎日360mgずつ1ヶ月間摂取させた。トマト抽出物摂取群で血清ECP量の低下効果を認めた。
図3. 通年性アレルギー性鼻炎症状を持つ被験者の鼻症状におけるトマト抽出物の効果(医師による診断)
通年性アレルギー性鼻炎症状を持つ被験者17名に、トマト抽出物を毎日360mgずつ2ヶ月間摂取させた。トマト抽出物摂取群で鼻症状の軽減効果を認めた。
引用文献
  1. 1Yamamoto T. et al.: Anti-allergic activity of naringenin chalcone from a tomato skin extract, Biosci. Biotechnol. Biochem., 68, 1706-1711 (2004)
  2. 2劉影ほか:トマト抽出物による花粉症の予防効果に関する基礎的臨床的研究,東方医学,19,33-48(2004)
  3. 3Yoshimura M. et al.: An evaluation of the clinical efficacy of tomato extract for perennial allergic rhinitis., Allergol. Int., 56, 225-230 (2007)