2011年4月11日
クランベリー高濃度果汁の尿路感染症再発予防効果について
~泌尿器科専門医師による日本人ではじめての大規模臨床試験を実施~
キッコーマン株式会社
日清オイリオグループ株式会社
日清オイリオグループ株式会社(取締役社長:大込一男)とキッコーマン株式会社(代表取締役社長:染谷光男)では、これまで長年にわたりクランベリーの研究を続けるとともに、高濃度果汁(50~100%果汁)をお客様に提案してまいりました。クランベリー高濃度果汁の摂取は、寝たきりの患者やストーマ(※1)患者などへの尿臭軽減作用に大変有益であることから医療機関では高い評価を受けております。
このたび、UTI共同研究会(会長: 産業医科大学医学部泌尿器科学教授 松本哲朗)は日清オイリオグループ株式会社とキッコーマン株式会社との共同研究において、多くの女性が罹るといわれている膀胱炎のうち、再発を繰り返す患者に対して、泌尿器科専門医師による大規模な臨床試験を日本ではじめて実施して、クランベリー高濃度果汁の尿路感染症の再発防止効果を確認し、第99回日本泌尿器科学会総会(2011年4月21~24日 名古屋国際会議場)で発表いたします。
<発表概要>
【目的】
再発を繰り返す急性膀胱炎または慢性複雑性膀胱炎患者に対するクランベリー果汁(65%果汁含有、125ml/本/日)の尿路感染症の再発防止効果について検証しました。
【方法】
尿路感染症に複数回罹ったことがある20~79歳の急性膀胱炎または慢性複雑性膀胱炎の急性増悪がみられた外来患者を被験者としました。クランベリー果汁摂取群ならびにプラセボ(※2)摂取群による無作為化二重盲検並行群間比較試験としました。また、予め25~29歳または55~69歳の女性で、効果が期待できる被験者層をITP(※3)と想定しました。試験食品は24週間、就寝前に摂取させました。主要評価項目を尿路感染症の再発としました。
【結果】
被験者全体(222名)での尿路感染症の累積無再発率は、クランベリー果汁摂取群においてプラセボ摂取群と比較して高値を示しました。ITPにおいては、クランベリー果汁摂取群はプラセボ群と比較して尿路感染症の再発を抑制する傾向が観察されました。また、ITPのうち8週以上継続摂取した被験者において、クランベリー果汁摂取群はプラセボ摂取群と比較して尿路感染症の再発を有意に抑制しました。以上より、クランベリー高濃度果汁は8週以上の連続摂取によって尿路感染症の再発予防効果が期待できると考察されました。
- ※1 ストーマ:消化管や尿路の疾患などにより、腹部に便または尿を排泄するために増設された排泄口
- ※2 プラセボ:有効成分が非含有で、試験食品と味、外観など区別のつかない対照品
- ※3 ITP(Ideal Target Population):効果が期待できる被験者層
【結論】
クランベリー高濃度果汁には女性の尿路感染症の再発予防効果が期待される。
◇第99回日本泌尿器科学会総会 発表概要
会期 | 4月21日(木)~24日(日) |
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会場 | 名古屋国際会議場 |
演題 | 「尿路感染症患者に対するクランベリー果汁飲料の再発防止効果」(発表番号:OP-180) |
発表日 | 4月23日(土) |
発表者 | 産業医科大学医学部泌尿器科学 松本哲朗 |
共同研究者 | UTI共同研究会 |
以上