乳酸菌

乳酸菌Pediococcus pentosaceus OS(OS株)

しょうゆ、味噌、漬物などの製造には植物成分を栄養源として生育する乳酸菌が多くかかわっています。キッコーマングループでは、野菜や果実を風味よく発酵させる微生物として、白菜漬物から乳酸菌Pediococcus pentosaceus OS(OS株)を分離しました。

乳酸菌OS株の整腸作用1)

トマトエキスを乳酸菌Pediococcus pentosaceus OS株により発酵後、加熱殺菌した乳酸菌発酵トマトエキスによる整腸作用を調べたところ、便通改善及びビフィズス菌を増加させる腸内フローラ改善の効果があることがわかりました。

便秘症状を示す22名のボランティア女性に、2週間の観察期間の後、乳酸菌発酵トマトエキスの粉末を1日1g、2週間連続して摂取してもらいました。便通への影響は排便日誌とアンケート調査により評価を行いました。また、観察期間、摂取期間終了時に採便し、腸内フローラの解析を実施しました。便通への影響を解析した結果、観察期間中と比較し乳酸菌発酵トマトエキスを摂取した期間(摂取期間)で、排便量、排便回数、排便日数が有意に増加していることが認められました(図1)。また、腸内フローラに占めるビフィズス菌の割合も有意に増加していました(図2)。さらに摂取期間終了時に実施したアンケート調査から、便通改善が有意に自覚されたことが認められました。食事調査の結果では、観察期間、摂取期間で摂取した栄養量に有意な変動が認められなかったことから、便通や腸内フローラへの影響は、乳酸菌発酵トマトエキスによるものであると考えられました。

これらの結果から、乳酸菌発酵トマトエキスの摂取は便通の改善に加え、腸内環境の改善に役立つと考えられます。

 

図1 乳酸菌発酵トマトエキスによる便通の改善

数値は14日間の平均値を示す。 *p<0.05 ***p<0.001で有意に改善効果あり

図2 腸内フローラにおけるビフィズス菌の増加

*p<0.05で有意に増加効果あり

引用文献

1

吉永恵子ほか:乳酸菌発酵トマトエキスの摂取による便通と腸内フローラへの影響,第68回日本栄養・食糧学会大会講演要旨集, p55(2014)