しょうゆ

アフラトキシン非生産性の解明

アフラトキシンは、Aspergillus flavusA. parasiticusといったAspergillus属菌の一部で 生産されるカビ毒で、天然物最強といわれる発ガン性を有しています。これらアフラトキシン生産菌は、醸造用麹菌であるA. oryzaeA. sojaeと分類上近縁であることから、醸造用麹菌もアフラトキシンを作るのではないかと疑われていました。
当社では、1960年代からこの問題に取り組み、まず、麹菌がアフラトキシンを作らないことを証明しました。また、分子生物学的見地からもアフラトキシン問題に取り組み、

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アフラトキシン生合成を促進する信号伝達系は機能を失っている、

2

アフラトキシン生合成酵素の発現調節因子は機能を失っている、

という少なくとも2つの機能不全によって、麹菌はアフラトキシン生合成能を失っていることがわかりました(図1)1-3)。この結果から、しょうゆ麹菌はアフラトキシン生合成に関して安全であると結論し、しょうゆの安全性を改めて世界に示しました。

アフラトキシンB1

アフラトキシンB1

図1. アフラトキシン非生産の仕組み
1)アフラトキシン生合成誘導の信号伝達に欠陥
2)アフラトキシン生合成に必須な調節因子に欠陥

引用文献

1

Matsushima, K. et al.: Pre-termination in aflR of Aspergillus sojae inhibits aflatoxin biosynthesis, Appl. Microbiol. Biotechnol., 55, 585-589 (2001)

2

Matsushima, K. et al.: Absence of aflatoxin biosynthesis in koji mold (Aspergillus sojae), Appl, Microbiol. Biotechnol., 55, 771-776 (2001)

3

Takahashi, T. et al.: Nonfunctionality of Aspergillus sojae aflR in a strain of Aspergillus parasiticus with a disrupted aflR Gene, Appl. Environ. Microbiol., 68, 3737-3743 (2002)