しょうゆ

大豆ペプチド高含有しょうゆの開発

しょうゆで人々の健康的な生活をサポートしたい

しょうゆは和食にとって欠かせない調味料であるとともに、現代では世界各国の食文化と融合した調味料として、世界中でファンを増やしています。しかしながら、しょうゆに含まれる塩分が、血圧を上昇させるイメージを持たれる場合がありました1)。日本の高血圧症有病者と正常高値血圧者の合計は5490万人に達すると言われており2)、健康志向が高まっています。そのような中で、血圧を低下させる作用を有するしょうゆの開発は私たちの長年の夢であり、その開発に取り組んできました。

醸造で生み出される大豆ペプチド

しょうゆ醸造で生み出される成分の中から、血圧を低下させる作用を有する成分(大豆ペプチド)を見出しました。これは、原料の大豆タンパク質に麹菌の酵素が作用して生じた天然の成分で、いくつかのアミノ酸がつながったものです。大豆ペプチドは、体内に存在する血圧上昇に関与する酵素(アンジオテンシン変換酵素)の働きを阻害することで、血圧降下作用を発揮することを明らかにしました(図1)。さらに、当社で長年磨いた独自の醸造技術によって、通常のしょうゆよりも大豆ペプチドを豊富に含み、通常のしょうゆに近い味や香りを持つ「大豆ペプチド高含有しょうゆ」を開発することに成功しました。

図1 大豆ペプチドが血圧を下げるメカニズム

図1 大豆ペプチドが血圧を下げるメカニズム

 

アンジオテンシンIにアンジオテンシン変換酵素(ACE)が作用してアンジオテンシンIIが増加することによって血圧が上昇する。大豆ペプチドは体内でACEの作用を阻害することにより、アンジオテンシンIIが減少し、血圧上昇を抑制する。

血圧降下作用

大豆ペプチド高含有しょうゆが、血圧が高めの人において血圧降下作用を発揮するか確認するため、臨床試験を実施しました3)。正常高値血圧者(男性36名、女性35名、計71名)およびI度高血圧者(男性29名、女性32名、計61名)を対象に、減塩しょうゆを対照とした二重盲検による12週間の連続摂取試験を実施しました。試験食品として、大豆ペプチド高含有しょうゆ(被験食品)もしくは減塩しょうゆ(対照食品)のいずれかを摂取させ、摂取量は8mL/日としました。その結果、大豆ペプチド高含有しょうゆを摂取した群では、摂取開始前との比較ならびに対照食品摂取群との比較の両方で収縮期血圧が有意な低値を示しました(図2)。このことから、大豆ペプチド高含有しょうゆの血圧が高めの人に対する血圧降下作用を世界で初めて証明しました。また、大豆ペプチド高含有しょうゆ摂取に起因する有害事象も認められなかったことから、安全性も確認されました。

図2 大豆ペプチド高含有しょうゆの血圧降下作用

大豆ペプチド高含有しょうゆを1日8mL摂取することによって、I度高血圧者および正常高値血圧者の収縮期血圧が有意に低下した。
* p<0.05, ** p<0.01 (摂取開始前との比較)
# p<0.05, ## p<0.01 (対照群との比較)

引用文献

1

キッコーマン調べ:一般の方2800人に対するインターネット調査(2011)

2

厚生労働省:平成18年国民健康・栄養調査(2009)

3

内田理一郎ほか:大豆発酵調味液(大豆ペプチド含有)配合減塩しょうゆの正常高値血圧者および軽症高血圧者に対する有効性と安全性、薬理と治療、36、 837-850 (2008)、訂正 薬理と治療、39、1063 (2011)