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『食道楽』に学ぶ

食物・料理・食事法の原則
『食道楽』のなかで日本人の食生活を根底から改革し、合理的で人間の生理学上の原則にかなったものにしようとした。『食道楽』の執筆後、1906年(明治39年)、「婦人世界」の編集顧問となり、数々の食と健康に関する論文を発表する。弦斎はもともと執筆のためには徹底して調査し取材を重ねた人で、ことの本質を究め断食や生食も自己の身体を実験台として試みている。その研究の到達点として1920年(大正9年)に出版した『十八年間の研究を増補したる食道楽』で食物、料理、食事法の原則を以下のように記した。
食物の原則・・・ なるべく新鮮なもの。なるべく生のもの。なるべく天然に近いもの。なるべく寿命の長きもの。なるべく組織の緻密 ちみつ なるもの。なるべく若きもの。なるべく場所に近きもの。なるべく刺激の少なきもの。
料理の原則・・・ 天然の味を失わざること。天然の配合に近からしむること。消化と排泄の調和をはかること。五美(味、香、色、形、器の美)をそなうること。
食事法の原則・・ 飢えをもって食すべきこと。よく咀嚼 そしゃく すべきこと。腹八分目に食すること。天然を標準とすること。
これらの諸原則は、今日の栄養学や食物学の基本原則にも十分に適うものである。
『十八年間の研究を増補したる食道楽』 『十八年間の研究を増補したる食道楽』
『十八年間の研究を増補したる食道楽』
(キッコーマン国際食文化研究センター蔵)
イラスト
食物・料理・食事法の原則