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『食道楽』の巻末には「日用食品分析表」を付録としてつけた。当時、公定の食品分析表がまだない時代だった。穀類・豆類・根菜類・魚類・獣肉類など18種類、444食品について、水分、蛋白質、脂肪、含水 がんすい 炭素、繊維、鉱物質などの成分を表し、身体に吸収された後のそれぞれの役目を記している。そして「家庭料理を掌 つかさど るものはこの理を知り、食物の成分・季節の寒暖・人体の健否・消化の善悪・嗜好とをよく考えて、生理上に適う料理を作るべきである。したがって家庭料理は料理方の手際より、むしろ材料の取り合わせが生理上・衛生上に適うか否かという点を第一に考えるべきで、食材によっては滋養 じよう 物でないものも味覚によって他の食物を美味しく食べさせるためである。」
こうした考えは、「食物の影響を最も受けやすい病人に与える食物ほど大切で、病気の種類や、病人の年齢・体力・体質・習慣などによって、医師と相談しながらその料理法次第で、病人の治癒 ちゆ 力や快復力を高めることができる。人は毎日、食物の影響を身体に受けているため、ますます食物療法に重きを置く、食物を研究する医者である食医の必要を感じる。」と述べている。 |
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増補註釈版 『食道楽』春の巻 附録・日用食品分析表
(キッコーマン国際食文化研究センター蔵) |
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