“その時食べたいものを楽しく食べる”
栄養バランスのよい食生活を送ることを実践する新しい手法・考え方
「ツジツマシアワセ」で生活者のWell-being向上に貢献
“楽しく栄養バランス”普及プロジェクト、11月6日始動
2023年度は神奈川県川崎市を中心に告知・店頭展開を実施

2023年11月06日

味の素株式会社、江崎グリコ株式会社、株式会社エブリー、キッコーマン株式会社、マルハニチロ株式会社、株式会社 明治は、栄養バランスのよい食生活を送ることを実践する新しい手法「ツジツマシアワセ」を提言する“楽しく栄養バランス”普及プロジェクトを11月6日(月)より始動します。

“楽しく栄養バランス”普及プロジェクト ホームページ
https://tsujitsumashiawase.net

人生100年時代と言われる中、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」、いわゆる健康寿命をいかに長く保つかが課題となっています。健康的な生活を過ごすために、毎日の食事の中で栄養素をバランスよく摂取することは、何よりも重要なことです。その一方で、栄養バランスを考えて食べること自体が、生活者の中で日々の重荷となっている側面もあります。
しかし、健康であると自覚しているため、将来の生活習慣病予防のために行動を起こしていない20代〜30代の人たちが、生活習慣病にならないような生活を送ることは、将来の生活習慣病患者を減らすだけでなく、健康寿命の延伸に寄与できると考えられます。このような背景から、今までとは全く違うアプローチで、日々の食生活の行動や考え方を変革することが必要と考えました。
栄養バランスのよい食生活を送ることを実践する新しい手法「ツジツマシアワセ」の普及で、生活者のWell-beingの向上に貢献することを目指し、本プロジェクトをスタートします。

背景

現代の日本においては、生活者の行動変容による生活習慣病やロコモ(※1)の予防管理が求められ、さまざまな取り組みがなされているものの、関連する疾患の死亡率は増加(※2)し、社会問題化しています。
健康であると自覚している20代〜30代の人でも、栄養への意識はあるものの、自分の行動が正しいのか不安・不満を感じる生活者は多く、さらに栄養バランスを考えることは難易度が高く、義務・負担であると捉えられています。(21年3月プロジェクト事務局調べ)

  1. ※1 ロコモティブシンドロームの略称。運動器に障害が起こり、日常生活に何らかの支障が発生している状態を指す
  2. ※2出典:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
栄養バランスについての意識調査(21年3月 プロジェクト事務局調べ)

以上のことから、本プロジェクトは、栄養バランスを考えて食べること自体の重荷を軽減し、「栄養素をバランスよく摂取できない」という罪悪感や義務感を持つことなく、楽しくおいしく具体的な「食べ方」の提唱と啓発を行い、真にこころとからだが満たされた健康的な人生の実現をサポートしていきます。

栄養バランスのよい食生活を送ることを実践する新しい手法
「ツジツマシアワセ」とは

本プロジェクトではまず、「その時食べたいものを楽しく食べること」を肯定します。「ちょっとしたご褒美にスイーツを食べる」「スタミナをつけるために焼き肉を食べる」など、食は人生を豊かにする一方、「夜遅い時間に食べ過ぎてしまった」「脂っこいものばかり食べてしまった」などの罪悪感を持ってしまうこともあります。私たちは「その時食べたいものを楽しく食べること」がWell-beingをもたらすと定義し、「栄養バランスの偏った食事による罪悪感」はその前後の食事でツジツマをあわせる、といった考え方を提言していきます。
栄養のツジツマあわせ=「ツジツマシアワセ」とは、栄養バランスを1食1食であわせるのではなく、例えば少し脂っこいものを食べ過ぎたと感じた時には、一定の期間内に野菜を多めに取ってツジツマをあわせればよい、という考え方です。無理なく生活習慣病などの予防をしながら、好きな時に好きなものが食べられるライフスタイルを送ることを推奨していきます。

この「ツジツマシアワセ」の根拠となるロジックとして、日本の文化に適した栄養素プロファイリングシステム「JANPS(Japan Nutrient Profiling System)」を開発しました。健康寿命延伸に関連する4つの栄養素・食材に着目し、食品中に含まれる栄養成分(Nutrient)の量を科学的な根拠に基づいて評価することで、献立・メニューの栄養素評価指標としています。

「JANPS」の基本的な考え方

また、「ツジツマシアワセ」を生活者が日常的に実践しやすくするために、献立やメニューを選ぶ際の指標となる「ツジツマシアワセ」マークも開発しました。栄養素のことがよく分からなくても、マークを拠り所として生活者が栄養のツジツマあわせを実現できる環境をつくります。

生活者が実践しやすくするための「ツジツマシアワセ」マーク

「ツジツマシアワセ」の活動について

「好きなものを」「好きな時に」食べられるWell-beingを根底にした「ツジツマシアワセ」は新しいムーブメントとして拡大させることが必要です。そのためには、食や健康に関わる民間企業だけでなく、行政・研究機関やメディア等、さまざまなステークホルダーとともに発展する必要があります。
そのため、当プロジェクトの考え方に賛同いただける企業様の参加を随時募集していきます。

2023年度のプロジェクト活動について

2024年以降の本格稼働に向け、2023年11月より神奈川県川崎市を中心に、参加企業による「ツジツマシアワセ」メニュー提案、流通店頭タイアップ、JR川崎駅・京急川崎駅での交通広告を始めとしたリアル・オンラインでの広告展開、川崎市を拠点とするプロバスケットボールチーム「川崎ブレイブサンダース」とのコラボレーション企画・イベントの実施など「ツジツマシアワセ」の普及に向けた活動を展開してまいります。

参加企業からのコメント ※五十音順

味の素株式会社

多くの生活者を悩ませる栄養バランスの負担感を軽減することは、まさに食を通じてWell-beingの向上に貢献する活動であり、大きな社会価値を生み出すものであると考えます。
当社は、栄養バランスのよい食生活を実践する新たな手法を提案していく本取り組みを、参加企業の皆様とともにチャレンジしてまいります。

江崎グリコ株式会社

Glicoグループは、存在意義(パーパス)である「すこやかな毎日、ゆたかな人生」のもと、生活者の健康維持・向上や、お客様の生活になくてはならない商品の充実に努めております。
本プロジェクトへの参加を通じて、生活者がより快適な食生活をおくり、健康的な毎日がすごせるよう活動してまいります。

株式会社エブリー

『DELISH KITCHEN』は料理を楽しい体験にすることをミッションに、管理栄養士監修のレシピ動画を配信しています。先日、レシピの栄養成分を無料公開するなどみなさまの健康のサポートにも注力しています。 
本プロジェクトを通して、栄養バランスを無理なく保ちながらも、料理や食べることをより多くの人に楽しんでいただけるよう、取り組んでいきたいと考えております。

キッコーマン株式会社

当社はコーポレートスローガン「おいしい記憶をつくりたい。」のもと、お客様のこころとからだの健康を願い、おいしく、楽しく、すこやかな食生活をお手伝いしたいと考えております。プロジェクトの主旨に賛同し、商品やレシピの提案を通して“楽しく栄養バランス”に取り組んでまいります。

マルハニチロ株式会社

マルハニチロは創業以来140年あまり、魚とともに歩み、生活者のみなさまに魚の良質なたんぱく質やおいしさをさまざまな形でお届けしてまいりました。生活者の健康を応援する企業として、たんぱく質はもとより、心の負担なく栄養バランスのよい食生活を実践する新しい手法で心と体のWell-beingな食生活の実現を目指す、本プロジェクトに賛同いたします。

株式会社 明治

(株)明治は赤ちゃんからお年寄りまで幅広い世代の方々の生活に寄り添う食品の提供により、みなさまの日々の生活充実に貢献していきたいと考えています。
本プロジェクトへの参加を通じ、よりおいしく・楽しく、そして健康的な食習慣の浸透を目指し、他企業のみなさまと一緒に取り組んでまいります。

有識者からのコメント

青森県立保健大学 学長、青森県立保健大学 健康科学部栄養学科 教授
吉池 信男 様

「栄養」は、ひとびとのwell-being のために、最も大切なことの一つです。生活習慣病予防などの「身体的」な健康に加え、毎日の生活での「精神的」な支えであり、また人と人とのつながりといった「社会的」な側面からも、より良い食生活を多面的に捉え、実現していく必要があります。「栄養バランスのとれた食生活」が大事であることは、誰もが知っていることです。しかし、たくさんの栄養素の名前と細かい数字を並べて説明されても、なかなか理解や実行につながらない場合が多いと思われます。
本プロジェクトで用いられる、栄養プロファイリングシステム「JANPS」のロジックは、そうした観点からわかりやすい指標です。日本固有の食文化や習慣、健康課題を捉えたものであり、使いやすく有益なものであると考えます。
健康寿命の延伸への寄与という観点から、シンプルに4つの栄養素・食材に焦点を当て、「栄養のツジツマあわせ」という行動しやすい示し方のおかげで、栄養や健康に関心が薄い層を含めたあらゆる人にとって使いやすい指標であると評価しています。
栄養は、専門家だけが考えられるものでは意味がありません。誰にでも、シンプルで直感的に考えられる。そんな特徴を持つこの「JANPS」に、私は強く可能性を感じ、本プロジェクトに賛同します。

慶應義塾大学 大学院健康マネジメント研究科 医学研究科医学部 衛生学公衆衛生学 教授
武林 亨 様

食べることの意味は、ひとりひとり、それぞれです。世界を見渡せば、国や地域によっても、さまざまです。それでも共通するのは、食は人を笑顔にすることですね。
人生90年、100年時代を迎えた日本で、自分らしく生きるにはどうすべきか。この究極のテーマのうち、土台となる健康と栄養については、医学、公衆衛生学そして栄養学の研究の取り組みからさまざまな成果が蓄積され、発信されています。大切なことは、この膨大な科学的知見を、どのように日々のわたしたちの暮らしの中に織り込んでいくのか、持続可能な食べ方へとつなげていくのかです。
本プロジェクトの「栄養のツジツマあわせ」は、日々の食を、一食ずつ捉えるのではなく、もう少し長いスパンでトータルに。ちょっと肩のチカラを抜いた視点を提案しています。
食生活を自由に楽しみながら、笑顔の先にある健康としあわせを目指す。ひとりひとりのスタイル、生き方に合わせた食を提案する取り組みに期待しています。

予防医学研究者、博士(医学) 公益財団法人 Well-being for Planet Earth 代表理事
石川 善樹 様

現代を生きる人たちは、自分自身の身体の状態を把握する感覚が鈍ってきているような気がしています。「お腹が空いたから」ではなく、「ご飯を食べる時間になったから」ご飯を食べるなど、簡単に美味しいものに辿り着ける今の世の中で、ただ出されるものとして食を捉えるだけでなく、自分自身で料理をすることも大切だと考えています。実は、コロナ禍のなかで、在宅勤務で料理をするようになった人ほど、Well-being度が上がる傾向も見られています。
ただ、すべての食事で料理をして、栄養バランス良く摂らなければならない。というわけではないとも考えています。精神的な負担になってしまっては元も子もありません。一歩引いた視点から栄養のことを考えていくこのプロジェクトの考え方は、Well-beingの観点からも重要なものになると共感しています。
これまで、私たちはミクロな視点で、「これを食べると健康」「あれを食べると不健康」など、食や栄養というものを捉えてきました。しかし、もっとマクロな視点で、食や栄養全体をコントロールしていくという考え方も最近は重要視されるようになりました。
このプロジェクトが掲げる「栄養のツジツマあわせ」という考え方は、今後の食を通じたWell-being向上において、重要な指針になるはずです。

以上