研究機関誌「FOOD CULTURE No.10」世界の食文化雑学講座 第5話
ご飯を“ギャバ”っと食べて、ストレス解消!?
日本の食生活は高度成長時代を境に一変した。それは戦後の栄養教育に影響している。ご飯ばかり食べて副食が少ないのは貧しい、欧米のようにたくさんの副食をとる食生活こそ理想だと考えた。本当にそうだろうか。最近では再び和食のよさが取り上げられ、国内はもちろん、それ以上に欧米の人々にも「SUSHI」「TENPURA」に代表される和食が好評である。
「三度のご飯は三杯ずつ」が国民食だった
現在の日本人一人あたりの米消費量は年間約65キログラムとされ、昭和40年代までの約100キログラムと比べ激減している。その背景には副食が多くなり、主食であるご飯を食べる量が減ったことが挙げられる。また、ご飯の代わりにパン食が増え、スパゲティ、ラーメン、うどん・そばなどの麺類の消費が増えていることも要因になっている。さらには、会社や学校へ弁当を持って行く人も少なくなり、持って行く人の中身を見てもご飯と副食の割合が昔の弁当と逆転してご飯の量が極端に少ない。
戦前、日本政府(当時の厚生省)は毎日の朝食、昼食、夕食にご飯を三杯ずつ食べることを推奨していた。当時は一汁一菜といい、ご飯に汁とおかず一品、漬物というメニューが一般的だった。現在のように副食が豊富にあったわけではなく、必要な栄養分をご飯からとらざるを得なかったというのが真相らしい。
1931年(昭和6年)から10年頃までの日本人一人あたりの一日の栄養摂取量は、エネルギー2345キロカロリー、たんぱく質74.1グラム。たんぱく質のうち動物性たんぱく質は2割弱だったという。当時一般的に食べられていた七分つき米であれば、成人男子で一日三合三勺(およそ茶碗三杯のご飯を三度)。この米は1600キロカロリーあり、たんぱく質が33グラム含まれているため、残り800キロカロリーとたんぱく質47グラムを小魚・卵・野菜の煮物・おひたし・豆腐などの副食からとる。
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の中には、「一日に玄米四合と・・・」とあるが、玄米四合といえば2000キロカロリー強あり、成人男子の必要量には少し足らないが、賢治らしい質素な暮らしぶりだといえる。
現代人の体質改善に一役!
世界中のほとんどの国が、米・小麦・トウモロコシ・雑穀・そば・いも類などを主食にし、人々は水とでんぷんで生命を維持している。肉や乳製品などを主食にするのは、農作に適しない酷暑の砂漠や極寒の地に住む一部の人たちだけなのだろう。
これらの主食の中で、パン、ラーメン、スパゲティ類を常食すると、脂肪のとり過ぎで肥満や高脂血症を招く恐れがあるといわれている。例えば、パンは水分の含有量が少なく、口に入れると唾液がバンに吸収されておいしさが感じられず、マーガリンやバターなどを塗っておいしく食べられるようにする。副食には野菜炒め、サラダ、ハムエッグ、オムレツなどが挙げられるが、どれも油の使用量が多い。
一方、ご飯を主食にした和食と、パンを主食にした洋食の脂質を比較すると、洋食が31.2グラムに対し和食は15.2グラム、洋食は和食の倍以上の脂質をとっていることになる。ラーメンやスパゲティなども、やはり油を多く使用する。
さらに最近、ご飯が注目されている理由にγ-アミノ酪酸(通称・ギャバ)の発見がある。ギャバには、血圧の安定や動脈硬化の予防、脳細胞を活性化する働きがある。そのギャバは米を水に浸すことにより、胚芽や白米の表層に多く含まれているグルタミン酸が変化してできることがわかり、こんな面からもご飯を主食にする和食が見直されている。ご飯のギャバを増やすためには、米をといだあと4時間は水につけてから炊くとよいこともわかってきている。
ギャバはイライラを解消するなど、『解消するなど精神安定作用もあることも認められ、ストレス社会に生きる現代人にとっては欠かせない成分。ご飯を中心にした和食が現代人の健康を維持するといえる。
- 1「米の力 雑穀の力」(永山久夫著 家の光協会)
- 2「和食の力」(小泉和子著 平凡社新書)
- 3「〈食育〉明日からできる10の提案」(幕内秀夫著 かもがわ出版)





