研究機関誌「FOOD CULTURE No.11」世界の食文化雑学講座 第8話
海外旅行で楽しめる「米」料理(ヨーロッパ・アメリカ編)
米はアジア圏だけの食べ物ではない。世界各国でそれぞれの料理法で食べられている。比較的「米文化」の歴史が浅いヨーロッパやアメリカでも、米料理はしっかり根をおろし、バラエティ豊かな料理が食卓を飾る。
色とりどりに変身するヨーロッパの米料理
ヨーロッパ諸国の中でも、もっとも米を食べる国はイタリアとスペイン。8世紀、アラブ人がスペインに稲作を伝えたということで、現在ではヴァレンシアやセビリアが主産地となっている。
スペインの米料理の代表格はパエリヤ。この料理は、ヴァレンシア地方の米と魚貝を炊いた郷土料理だった。粘りが少ない米を使うスペイン風炊き込みご飯といったところ。スペインではお父さんの味として各家庭で作られ、その味を競うコンクールも開かれる。バルセロナでは、冷蔵庫に残りものがたくさんあるからパエリヤでも作ろうか、という具合になるそうだ。このパエリヤの仲間にイカ墨を使ったものもある。パエリヤがイタリアに伝わるとリゾットとなり、ミラノを中心に北部でよく作られている。作り方は難しくなく、土鍋の余熱を利用するため、ほんの少し水分が残るぐらいの火加減で炊けばよい。その種類は多く、イタリアのアウグスト地理学協会が編纂した『イタリアンリゾット』には一二八種類が掲載されている。
リゾットのスープを増やし、具材も増やしてスープ仕立てにするとミネストローネになる。米粒に少し芯が残るぐらいが食べごろである。米の替わりにパスタを入れることもある。リゾットにクリームソースをたっぷりかけ、オーブンでグラグラと焼くとグラタンとなる。モッツァレラチーズをたっぷり入れて揚げればライスコロッケになる。
珍しいところではお米のサラダがある。日本のちらし寿司のような料理だが、やはり米は野菜として考えられていることがよくわかる料理だ。レモン汁・砂糖・塩の合わせ酢とサラダ油を炊き上がったごはんに混ぜ、キュウリ・ハム・キクラゲ・青シソなどの具材を混ぜ、マスタード・ドレッシングで和えた茹でタコ・エビ・トマトをトッピングする。
とっさの言い訳が料理名になった?
アメリカで稲作が始まったのは17世紀末。ヨーロッパを目指してアフリカのマダガスカル島を出航した貨物船が大西洋で難破し、アメリカの東海岸チャールストンに漂着した。そのときに船に積まれていたもみ米がチャールストンの郊外で栽培されるようになり、その後、ミシシッピー・ルイジアナ・テキサス・アーカンソー・ミズーリなどで大々的に栽培されるようになった。
米料理でもっとも有名なのは、ミシシッピー河口の港町ニューオリンズの名物料理であるルイジアナ・ジャンバラヤ。そのルーツはスペインのパエリヤだといわれている。昔、ニューオリンズのある宿屋に一人の紳士が泊まった。その紳士は空腹で宿の主人に食事を頼んだ。主人が、夜も遅かったために残り物の材料でパエリヤまがいの料理を出したところ、客の紳士はその料理があまりにおいしかったので主人に料理名を聞いたという。主人は残り物クッキングがばれたかと思い、とっさに宿の料理人のジャンがやった(JANBALAYEZ)と答えた。そこからジャンバラヤという料理名になったという。
アメリカ料理といえばステーキ、というイメージが強いが、最近ではヘルシー指向の人たちが増えている。その中で米が注目され、寿司バーや魚貝類のレストランの人気は高い。また、バターライスとカニカレーを組み合わせたカレー料理はアメリカの新しい味といえる。
- 『世界のごちそう米料理』(奥村彪生著 株式会社雄鶏社)







