豆乳由来のおからパウダー 4つの健康効果を確認

大豆由来の健康的な食材として研究が進められている「おから」。キッコーマン食品株式会社は「豆乳由来のおから」について、武庫川女子大学食物栄養科学部の髙橋享子先生、前田晃宏先生と共同研究に取り組み、4つの健康効果について検証を行いました。

「豆乳由来のおから」って

豆乳は、水に浸した大豆を搾って作られます。その際に残る搾りかす「生おから」には、大豆たんぱく、食物繊維が豊富に含まれており大豆由来のカルシウム、大豆イソフラボンも含まれます。

豆乳由来のおからは、お豆腐を作る過程でできる一般的なおからと比較して、たんぱく質が多く含まれます。

本研究では豆乳づくりの過程でできた生のおからを乾燥させて細かいパウダー状にしたものを使用しました。

効果1 便通の改善

豆乳由来のおからで
排便回数に変化がある?

便秘は、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を表します。
便秘の症状としては、便が硬くなる、排便回数が減少する、排便時におなかに過度に力を入れる、残便感、肛門の閉塞感などが挙げられます。
平成25年国民生活基礎調査によると20代~50代女性で約4%が便秘の自覚症状があります。

便通改善に有効とされる食物繊維を100gあたり38.1g含有する豆乳由来のおからを使い、改善効果を検証しました。

共同研究成果

11.6g/日の摂取
1週間で便通改善

研究対象者

自己申告の便秘の主訴がある20歳以上の若年女性(22名)

テスト群

豆乳由来のおから11.6gを含むスープを朝食時に食べる

豆乳由来のおからを配合したスープを1週間食べることで排便回数が上昇しました。また、スープを食べるのを中止した2週間後には、排便回数上昇の効果が消失したことも確認されました。

効果2 満腹感の持続

おなかで膨らむ食物繊維と
食後の満腹感の関連は?

食物繊維は、水に溶けずに腸内で水分を吸収して膨らむため、満腹感を得やすくなります。

食物繊維を豊富に含む豆乳由来のおからでも同じ効果が得られるか、検証しました。
豆乳由来のおからとパン粉を入れたヨーグルトを食べたテスト群とパン粉のみを入れたヨーグルトを食べたプラセボ群を比較しました。

共同研究成果

4.5g(大さじ1)の摂取で満腹感の持続

研究対象者

20歳以上の健康な女子学生(44名)

テスト群

豆乳由来のおから 4.5g(食物繊維1.7g)+パン粉 13.5gをヨーグルトに入れて摂取

プラセボ

パン粉 18gをヨーグルトに入れて摂取

豆乳由来のおからをヨーグルトに混ぜて食べたグループ(テスト群)は、摂取後60分経過時点での満腹感が、プラセボ※群よりも持続していました

※見た目は似ていますが、豆乳由来のおからに含まれる成分は入っていないものです。

効果3 肌状態の改善

排便習慣の改善は、肌状態の改善につながる?

一般的に便秘状態では腸内環境が悪化し、有害物質が腸内に蓄積され、お肌に影響があると言われております。

排便習慣の改善が確認された豆乳由来のおからを摂取することで「肌状態の改善」に影響するかを検証しました。

共同研究成果

15g/日の摂取8週間で肌に効果

研究対象者

便秘気味かつ肌状態が気になる成人女性(29名)

テスト群

豆乳由来のおから 15gを8週間
普段の食事と組み合わせて摂取

非摂取群

8週間 普段の食事のまま

豆乳由来のおからを8週間食べたグループ(テスト群)は、額の深部皮膚の弾力性が上昇した。また豆乳由来のおからの摂取をやめると、深部皮膚の弾力性上昇効果が消失することも確認できました。

効果4 体組成の改善

大豆たんぱく質に期待される
筋肉・体脂肪への影響とは?

豆乳由来のおからに含まれる大豆タンパク質には、肉や魚などの動物性たんぱく質からは摂取できないβ-コングリシニンが含まれています。

豆乳由来のおからは大豆たんぱく質を多く含んでおり、体組成への影響があるか12週間の摂取試験で検証しました。

共同研究成果

15g/日の摂取4週間で筋肉量増・体脂肪率減

研究対象者

20歳以上の健康な成人46名(男性3名、女性43名)

テスト群

豆乳由来のおから 15gを12週間
普段の食事と組み合わせて摂取

豆乳由来のおからを4週間摂取し続けることで筋肉量の増加、体脂肪率の減少が確認されました。

参加者アンケートから

今回の研究終了後、参加者にアンケート調査を行いました。その結果、「排便回数が増加した」「硬い便が軟らかくなった」「排便がスムーズになった」等の回答が数多く得られ、便通の改善効果を確認できました。また、「腹持ちが良かった」「間食が減った」という回答も得られ、満腹感の持続に関しても研究成果と参加者の印象が一致していることを確認しました。

共同研究紹介

これらの研究成果は武庫川女子大学食物栄養科学部 髙橋享子先生、前田晃宏先生との共同研究にて得られたものです。

髙橋享子 先生

武庫川女子大学 学長
武庫川女子大学 食物栄養科学部 学部長
武庫川女子大学 食物栄養科学部 教授
武庫川女子大学 女性活躍総合研究所 所長

前田晃宏 先生

武庫川女子大学 食物栄養科学部 講師

外部発表(2025.4.1現在)

・短期間のおからの朝食摂取は、若年女性の排便習慣を改善する(第66回 日本栄養改善学会)

・大豆食品は小麦食品よりも食後満腹感が持続する(第67回 日本栄養改善学会)

・Intake of okara soup for two weeks for breakfast improved defecation habits in young Japanese women with self-reported constipation: A randomized, double-blind, placebo-controlled, intervention study(J Food Sci. 2020 Oct;85(10):3570-3576)

・Comparisons of Soybean and Weat; in the Focus on the Nutritional Aspects and Acute Appetite Sensation(Foods. 2022 Jan 29;11(3):389)

・12週間の豆乳おからパウダー摂取による排便習慣と腸内細菌叢の変化(第61回日本栄養・食糧学会)

・Intake of soymilk-okara powder for 12 weeks decreases body fat and body muscle in Japanese adults: A single-arm intervention study(Plant Foods Hum Nutr. 2023 Mar;78(1):173-178)

・豆乳おからパウダーの食後満腹感持続効果(第70回日本栄養改善学会)

・Relationship Between the Frequency of Bowel Movements and Fecal Bacteroides in Japanese Women(Plant Foods Hum Nutr. 2024 Jun;79(2):345-350)

・豆乳おからパウダー摂取による肌質改善効果(第78回日本栄養・食糧学会)

・Intake of soymilk-okara powder for 8 weeks induced the improvement of skin elasticity in Japanese women(Skin Pharmacol Physiol. 2025 Mar 11)