キッコーマン食文化講座
しょうゆの基本 ~しょうゆの種類と作り方~
日程 | 2010年6月29日 |
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場所 | 野田本社 |
講師 | 田上秀男先生 |
主催 | キッコーマン国際食文化研究センター |
- 1日本国内におけるしょうゆの出荷量はピーク時には約120万キロリットルでしたが、平成20年度には約90万キロリットルとなっています。企業数は約1600社ですが上位10社で60万キロリットルを占め、小規模企業が多数存在します。歴史的に見て各町におおよそ一軒のしょうゆ工場が存在し、その名残と言えます。
- 2店頭には「しょうゆ」と名のつく製品が多々ありますが、「しょうゆ」と「しょうゆ加工品」に2分されます。「こんぶしょうゆ」、「かつおだししょうゆ」、「たまごかけしょうゆ」などはしょうゆをベースに作られた液体調味料で「しょうゆ加工品」に該当し、「しょうゆ」はJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)で次のように定められています。
- 3しょうゆの種類と製造方式
5種類あります。こいくちしょうゆ(平成20年度出荷数量の比率、84.4%)、うすくちしょうゆ(12.3%)、たまりしょうゆ(1.5%)、さいしこみしょうゆ(1.0%)、しろしょうゆ(0.8%)
また、3製造方式あります。本醸造方式(84.4%)、混合醸造方式(0.8%)、混合方式(14.8%) - 4本醸造のこいくちしょうゆの作り方
大豆と小麦をほぼ等量使用し、大豆は蒸します。小麦は炒って砕き、両者を混合し、それに種麹を接種して「しょうゆ麹」をつくります。この麹を食塩水と混合してタンクに入れて「諸味」とし、半年から約1年間発酵・熟成した後、搾って生しょうゆを得ます。それを加熱処理して製品とします。
「うすくちしょうゆ」の基本的な作り方はこいくちしょうゆと同じですが、製品の色をうすくするために、食塩水の量を多くしたり、諸味の温度をこいくちより低くしたりします。また、味をまろやかにするために、米を糖化させた甘酒を使うことがあります。「たまりしょうゆ」の主原料は大豆で、小麦はごくわずか。原料を蒸し、「味噌玉」を造って食塩水で仕込み、タンクの底にたまった液を汲みかけながら約1年間発酵・熟成させます。「さいしこみしょうゆ」は、食塩水の代わりに生しょうゆを使用します。生しょうゆでもう一度仕込むので「再仕込み」です。「しろしょうゆ」の主原料は小麦で、ごくわずかに使用される大豆は炒った後皮をむき、小麦も精白して使用します。約3カ月間、低温に保ち、美しい琥珀色のしょうゆとなります。 - 5製造方式
「混合醸造方式」は本醸造の諸味に大豆のたんぱく質を塩酸分解してつくったアミノ酸液(アミノ酸の混合液)を加え、熟成させます。アミノ酸特有のうま味を生かしたしょうゆで、地域によってはこの特徴が好まれます。「混合方式」は生しょうゆ(本醸造または混合醸造)にアミノ酸液を加えて作ります。 - 6「たまりしょうゆ」はすでに室町時代の頃に商業ベースで流通しており、「こいくちしょうゆ(単にしょうゆと呼称)」と「うすくちしょうゆ(うすしょうゆと呼称)」は江戸時代中期頃にその基本が確立され、「さいしこみ」は江戸時代後期に、「しろ」は江戸時代末期から明治時代初めに確立されたとされています。