キッコーマン・フーズ社(KFI)創立45周年記念 日米食品流通シンポジウム

2018年6月7日にアメリカ・ウィスコンシン州で、キッコーマン・フーズ社(KFI)創立45周年を記念し、第9回目となる「日米食品流通シンポジウム」を開催しました。
「多様化する購買行動と食品小売業の戦略」をテーマに、eコマースの急速な進展と新形態のビジネスの拡大により変化する市場と消費者行動をいかに捉え、どのように対応していくべきか、さまざまな角度からの意見が交わされました。

プレゼンテーション資料

基調講演

早稲田大学ビジネススクール 教授
内田 和成氏
イノベーションを引き起こすには、「技術革新」のみならず「構造変化」「心理的変化」が同時に起こることが必要。日本の人口動態の変化により、消費者の購買行動が大きく変わっている。また、心理的変化として、消費者は安全性やエコに対する意識を高めている。変化を時間軸で見極めることが大切。
ハーバード大学経営大学院 教授
ラジブ・ラル氏
スーパーマーケット業態は低迷しており、eコマースが急速に発展する中で、自己変革が必要。まずミレニアル世代の消費意欲をいかに掴むかが鍵であり、さらに店舗サイズの縮小や、生鮮、デリカテッセン、シーフードへの注力、駐車場での受け取りや宅配サービスの拡充などがポイントになる。

パネリスト報告

ウォルマート社 米国eコマース グロサリー担当 ヴァイスプレジデント
カーメラ・クジーニ氏
飲食料品のeコマース市場は、豊富な品ぞろえと、低価格で無料配送サービスを提供すれば確実に伸びる。ウォルマートは、店舗でのピックアップと宅配サービス、都市部に特化したJet.comという3つのプラットフォームを活用し、競争優位性を持っている。
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 代表取締役社長
井阪 隆一氏
6月より、セブン-イレブンとイトーヨーカドー共通のIDでアプリの提供をスタートし、今後は購買履歴を活用していく。スマホ注文後2時間で商品を届けるサービスもテスト中で、今後もIT進化に対応していく。
ゴラブ社 副会長
ジェリー・ゴラブ氏
米国北東部6州で134店舗を展開し、売場では生鮮を主力として、シーフード、ミート売場周辺でクッキングデモを行うなど、買い物のしやすさと楽しさに重点を置いている。また、ヘルスケアにも力を入れている。
株式会社マルエツ 代表取締役社長 兼 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社 代表取締役会長
上田 真氏
都心型ミニスーパーマーケット「マルエツ プチ」を展開。コンビ二との競合を避けるため生鮮を中心とし、規模は小さくとも買い物の楽しさを重視している。また、個店単位で顧客層に合わせた品ぞろえに注力している。
ニーマンフーズ社 社長兼CEO
リチャード・ニーマン・ジュニア氏
店内でバター製造やデリミートの薫製、手作りパンの提供など、顧客とのエンゲージメントを重視している。また、コンビ二業態の店舗においても、新鮮な食の提供を重視しており、ルーツである農業とのつながりを意識している。
株式会社ヤオコー 代表取締役会長
川野 幸夫氏
価格よりも価値を重視した店舗運営。生鮮やデリカは鮮度が重要なため、各店に主体性をもたせた個店経営を採用することで、地域顧客が集う市場のような店舗づくりに注力している。