収蔵品企画展
しょうゆづくり今昔 ~明治から昭和、道具の進化~

大豆、小麦、食塩を原料に、麹菌や乳酸菌、酵母などの微生物の働きでつくられるしょうゆ。キッコーマンの本醸造しょうゆの製造方法は、機械化が進む今も手作業のころと変わりません。明治初期のしょうゆ醸造を描いた『野田醤油醸造之図』を参考に、当時のしょうゆのつくり方と道具を紹介します。また、昭和初期の製造現場や、1926年に行われた第17工場(現野田工場製造第1部)完成祝賀披露式典の様子を写真や動画で紹介します。

開催期間:2024年7月8日(月)~9月20日(金)
               

原料処理

①原料(大豆・小麦・食塩)の異物を取り除く
②小麦をほうきで攪拌しながら釜で炒る
③炒った小麦を冷まし、石臼で粗く挽き割る
④大豆は釜場で蒸す
⑤煮込釜に水と塩を混ぜて沸騰させ、浮かんできた異物を泡すくいで取り除く。桶に移して冷まし、異物を沈殿させる

『野田醤油株式会社二十年史』より
異物を取り除く泡すくい
小麦を炒り(手前)、石臼(奥)で挽いている様子が描かれる

製麹・仕込み

⑥蒸した大豆を冷まし、炒って挽いた小麦と混ぜ合わせ麹蓋に盛る。麹室の麹菌によりしょうゆ麹をつくる
⑦麹蓋を麹室に積み上げる。風向きや室温などにより積み方を工夫し、冬には炭火で室温を保ち、3~4日でしょうゆ麹が完成する
⑧仕込桶に入れた塩水にしょうゆ麹を入れ、約1年かけてもろみをつくる
⑨冬は1~2日に1回、夏は1日に 2~3回、桶の中を櫂竹で攪拌して発酵を促す

大豆、小麦、麹菌を混ぜ合わせ、麹蓋に盛り込む
麹蓋を麹室に積み上げる
麹蓋を麹室に入れる様子が描かれている
櫂竹(かいだけ)で撹拌する

圧搾・火入れ

⑩完成したもろみは溜桶で圧搾場の待桶に移し、桃桶を使って搾り袋に詰め、槽(ふね)に敷き重ねる。はじめは重さを掛けず、徐々に吊り石を増やす。さらに袋を積み替えて搾るを繰り返し、8~10日かけて作業を行う
⑪搾った液を桶に移し、おりを沈殿させて浮いた油をすくい取る(生揚醤油)
⑫釜に入れて直火や湯せんで火入れを行う。しょうゆづくりのポイントが 「一麹、二櫂、三火入れ」なのは今も変わらない  

桃桶(ももおけ)で、もろみを搾り袋に入れる
もろみを入れた搾り袋を、槽(ふね)に並べる
搾り袋を槽(ふね)に並べる様子

槽でしょうゆを搾る様子。徐々に吊り石を増やしていく


詰め・出荷

⑬火入桶から半切桶にしょうゆを入れ、柄長と漏斗を使って樽に詰める。二人組で行い、一人は木槌で樽の鏡板(ふた部分)を叩き、音で液の充填具合を確認する
⑭樽にブランドを表す印や焼印をつける

火入れをしたしょうゆは、半切桶に入れ、漏斗を使って樽に詰める
しょうゆを詰めた樽に縄をかける様子
焼き印

昭和初期の工場の様子

  
小麦を炒る
  
  ボイラー室
  
  圧搾場
  
  樽の縄かけ