キッコーマン食文化講座

みりんの話 ~日本の食生活を支える発酵食品~

日程 2011年5月27日
場所 野田本社
講師 舘博先生
主催 キッコーマン国際食文化研究センター

みりん(本みりん)は我国を代表する調味料であるが、一般にはどの様な物なのかは余り知られていない。アルコールを14%も含む甘いお酒で、原料や製造方法、その調理効果なども余り知られていない。近年、みりんと似たみりん類似調味料が市販されているが、みりん類似調味料をみりんと思っている消費者も多い。みりん業界では、それら類似調味料と区別するために、みりんを本みりんと呼んでいる。

  1. 1本みりんの歴史

    本みりんの起源には諸説があるが、中国にあった「密淋(ミイリン)」という甘い酒が戦国時代に伝わったという中国伝来説、日本に古くから存在した「練酒」「白酒」に腐敗防止のため焼酎が加えられてみりんになったという日本誕生説などがある。戦国時代に甘い飲用酒類として特に女性や下戸に飲まれていたものが、江戸時代後期に鰻のたれやそばつゆに使用され、調味料として使用が定着した。明治から戦前にかけては一部一般家庭での使用が始まったが、まだ贅沢品であり日本料理店で隠し味的に使用されることが多かった。昭和30年代には、酒税の大幅減税の影響もあり、徐々に一般家庭に普及していき、そして今日、わが国の代表的な調味料の一つになった。

  2. 2本みりんの製造方法

    本みりんは、蒸米(糯米)と米麹(粳米)を焼酎(アルコール)に仕込み、40日~60日間かけて糖化・熟成させる。この間に米麹の酵素が働いて、もち米のデンプンやタンパク質が分解されて糖類、アミノ酸、有機酸、香気成分などが生成され、琥珀色で本みりん特有の風味が形成される。

  3. 3本みりんと類似調味料

    みりん類似調味料には、みりん風調味料と発酵調味料がある。みりん風調味料は、糖液にアミノ酸、有機酸などを混ぜ合わせたもので、主にスーパーとかで販売されている。発酵調味料は、発酵したもろみに塩と糖質原料を加えて作られ、加工食品用や料飲店といった業務用が中心ではあるが、スーパーでも料理酒として売られている。

  4. 4本みりんの調理効果

    本みりんには、料理に上品な甘み、テリとツヤ、煮崩れを防止、深いコクとうまみ、味のしみ込みおよび消臭の6つ調理効果がある。