キッコーマン食文化講座

世界のワイン ~旧世界のワイン・新世界のワイン~

日程 2012年2月23日
場所 野田本社
講師 竹内潔先生
主催 キッコーマン国際食文化研究センター

1. O.I.V.(世界ブドウ・ワイン会議)統計より

世界のブドウ栽培面積・ブドウ生産量・ワイン生産量・ワイン消費量・ワイン輸出入量について観察。

ヨーロッパは今もなお世界のワイン生産・消費・輸出入の中心で有るが、フランス・イタリアをはじめとする大量消費国の消費量減少が長期にわたって続き、過剰生産の調整に苦しむ傾向は続いている。中国をはじめとするワイン新興国の生産・消費の伸びは顕著なものが有る。

2. 旧世界(ヨーロッパ)のワイン=テロワール(風土)重視、新世界のワイン=品種重視

EU主要国のワインの等級について(新旧のクラス分けについて)

EU加盟国の増加に伴い、また表示のわかりやすさのために2009年にEUのクラス分けが改正された(改正後は(産地表示無し)ワイン/IGP(保護地理表示ワイン)/AOP(保護原産地表示ワイン)の3等級)。各国はそれに応じて各国のクラス分けを変更しているが、新旧表示混在中。

輸入ワインでも義務表示事項は日本語記載有り。原産国・アルコール分についてまず読み取ろう。

①フランスワインを見分けるポイント
  1. 1壜形から産地を見分ける。ボルドー無色壜の中に極甘口ワインがあるが、大部分は辛口ワイン。
  2. 2ボルドーのポイント。A.C.Bordeaux、A.C.地区名、A.C.村名、シャトーワインの順に格と値段は上がっていく。シャトーワインの中でもGrand Cru(特級畑)は別格。
  3. 3ブルゴーニュのポイント。A.C.Bourgogne、A.C.地区名(Côte de Nuits,Côte de Beaune)、A.C.村名、A.C.畑名(1級畑、特級畑)の順に格と値段が上がっていく。ブルゴーニュの場合は1つの畑を複数のドメーヌ(醸造所)が保有していることが多いので、ドメーヌによって価格が大きく異なることがある。
②ドイツワインを見分けるポイント

ドイツワインはブドウの糖度で格付けが決まってくる→格付表示でおよそ見当付ける。

Q.b.A<Kabinett<Spätlese<Auslese<Beerenauslese, Eiswein<Trockenbeerenauslese

trocken(辛口)、halbtrocken(やや辛口)、無表示(やや甘口~甘口(B.A以上は極甘口)

③イタリアワインを見分けるポイント

基本的にはVino(da Tavola)<I.G.P(I.G.T)<D.O.C.<D.O.C.G.の序列だが、D.O.C.G.より高いテーブルワインもあり。伝統的なローカルな品種が多いが、最近はシャルドネなどインターナショナルな品種のワインも増えている。

3. 新世界のワイン

  • 多くの場合は、品種表示しているヴァライエタル・ワインと、品種表示をせずタイプ表示しているジェネリック・ワインが有る。
  • ヴァライエタル・ワインのなかでカベルネ・ソーヴィニョン、メルローやシャルドネ、ソーヴィニョンブランは新世界の多くの産地で品種特性を発揮した優れたワインが良く見られる(これらは全て辛口)。
    産地国+好みの品種+樽の使用の有無などを目安に選ぶと良い。