お酢のチカラ ~健康機能と調理効果など~
日程 | 2013年4月30日 |
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場所 | 野田本社 |
講師 | 赤野裕文先生 |
主催 | キッコーマン国際食文化研究センター |
紀元前に起源を遡ることができる食酢は、これまで世界各地で使われてきた。この理由には、保存や味(調理)に対する作用だけでなく、言伝えや体験談として伝承されてきた健康機能も関与していると思われる。しかし、食酢の健康機能に関して、昨今のお客様が求めるレベルの科学的エビデンス(根拠)は少なかった。この状況に対し、我々は、主に原料の違いに由来する多くの種類の食酢が存在するが、特定の食酢に限って伝承的に体に良いとされてきたわけではないことに着目した。すなわち、食酢の中でも、酸味を特徴付ける主成分であり、他の食品中には殆ど含まれない酢酸によってもたらされる食酢の健康機能の効果検証に取組んできた。その主な成果は以下の通りである。
- 1肥満気味の方の内臓脂肪の減少
毎日食酢を15ml含む飲料を12週間継続的に摂取することにより確認できた。
- 2高めの血圧の低下
毎日食酢を15ml含む飲料を10週間継続的に摂取することにより確認できた。
- 3高めの血中脂質の低下
毎日食酢を15ml含む飲料を12週間継続的に摂取することにより確認できた。
これらの効果は、いずれも大さじ約1杯分(15ml)の食酢を摂取することによる効果が認められたことから、我々は1日に大さじ約1杯の食酢を飲食することを推奨している。更に、食酢を15ml含む飲料を摂取後、ご飯を食べることにより、食後の血糖値上昇を穏やかにする作用も認められた。
また、食酢は健康機能だけでなく、以下の調理効果などが知られている。
- 1食欲増進
食酢のさっぱり感でおいしく食欲アップ。
- 2あぶら分の多いお料理をさっぱりと
あぶら分でこってりした料理もさっぱりと。
- 3減塩のお手伝い
塩分ひかえめの料理も味がぼやけたりせずおいしく減塩。
- 4素材のカルシウムを引き出す効果
小あじやいわしなどを食酢で煮れば、素材のカルシウムが溶け出し、無駄なく活用。
- 5素材の色をよりあざやかに
しょうが、みょうがは酢漬けするときれいなピンク色に。
- 6防腐、静菌作用
食べ物をいたみにくくする工夫に。
これら食酢の持つ多くのおいしさ効果を普段の食生活に活用いただければ、毎日の食卓を豊かにしてくれると考える。