日本酒の原材料と製造方法
日程 | 2013年7月29日 |
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場所 | 野田本社 |
講師 | 永井則吉先生 |
主催 | キッコーマン国際食文化研究センター |
日本酒の原材料~仕込み水
清酒の成分の80%以上が「水」 酒造用水=仕込み水
酒造りは、基本的に微生物を利用するため大腸菌など細菌の検出されないきれいな水である。鉄やマンガンを含まない。
硬水と軟水 カルシウムとマグネシウムの含量を硬度 →含量が大、硬度は大 硬水 逆は 軟水。発酵に強い水にはカリウム・マグネシウムが多く含まれる。微生物の育成にはリン酸必要。 酵母の増殖と発酵には、カルシウム。 酵素の生産にはクロールが必要。
日本酒の原材料~原料米
酒米=酒造用玄米=酒造好適米 心白米(しんぱくまい)と呼ばれることもある。現在96品種(24年度)存在する。
- 奈良時代
早生、晩生、もち、うるちなどに分類する概念が生まれた。
- 鎌倉、室町時代
「こひずみわせ」・「しょうがひで」などの酒造適正な米
- 江戸、明治、大正、昭和時代
「雄町」・「神力」・「愛国」・「亀の尾」など多く生み出されるようになった。
1893年 農商務省農事試験所が設立
1936年 「山田穂」と「短稈渡船」の交配で「山田錦」 - 軟質米
山田錦:兵庫(75%)、岡山、福岡など
雄 町:岡山、広島、島根など
若 水:群馬、愛知、静岡など - 硬質米
五百万石:新潟、富山、石川など
美山錦:秋田、山形、長野など
舞 風:群馬県新品種(H24年4月17日)
日本酒の製造方法~日本酒のタイプと精米歩合
- 純米タイプ(原材料:米・米麹)
純米大吟醸50%、純米吟醸60%、純米酒
- 本醸造タイプ(原材料:米・米麹・醸造アルコール)
大吟醸50%、 吟醸酒60%、 本醸造70%、 普通酒
日本酒の製造方法~原料処理
- 精米
玄米は、胚芽や表層部にはたんぱく質や脂肪やなどが多く含む。これらを取り除く工程。
- 蒸し
蒸しの出来上がりで酒造りが大きく左右される。蒸しの前の洗米・浸積作業が大切。目的によって原料米の吸水率をかえる。吸水率が多いと蒸米が柔らかくなり過ぎ、麹米は麹菌の破精込みが悪くなり掛米は、溶けやすく、味が多い醗酵をする。
日本酒の製造方法~麹づくり
1 麹(こうじ) 2 酛(もと) 3 造り(つくり)が合言葉
1 麹づくりをしっかりと行う。 2 健全な酵母をづくり(酒母)を育てる。 3 麹と酛をあわせ、健全な醪(もろみ)管理をする
蒸米に種麹(黄麹菌の胞子)をまいて、黄麹菌を繁殖させたものを麹菌(米麹)といい、麹をつくること事を製麹(せいぎく)という。
麹米の役割 →お米を溶かすこと。(アルファアミラーゼ) →溶けたお米を甘くする。(グルコアミラーゼ)
タンパク分解酵素の力価
酸性プロテアーゼ、カルボキシペプチターゼ
製麹中の香味、手触り、麹菌の繁殖状況を官能的な判定をしていく→経験値が必要
確認するために酵素力価を測定する。
枯草菌(こそうきん)通称 納豆菌は御法度
日本酒の製造方法~酒母造り
酒母造りとは
全体の使用する原料米の7%を相当する米で酵母の培養を行う。
優良な酵母を純粋に多量含み、多量の乳酸を含む。
酒母の育成法には普通速醸酒母 生酛酒母・山廃酒母がある。
日本酒の製造法~醪(もろみ)
醪とは
水、麹、酒母に蒸米を加えて発酵させる状態にしたもの
醪の仕込み方法:三段仕込み 初添、(踊り)、仲添、留添
少量の酒母に大量の蒸米、麹、水を一度に加えると、酵母の数と酸が極端に薄められる。3回に仕込みを分けることで、酵母と酸が薄められることなく増殖し醪の細菌の増殖を抑え、健全な発酵を促す。
並行複発酵
麹の糖化作用と、酵母によるアルコール発酵が同時に並行して行う
日本酒の製造方法~上槽
上槽とは
醪を酒袋に入れて槽(自動醪圧搾機)で搾り、清酒と酒粕と分けること
上槽の時期
アルコール濃度と日本酒度、醪後半のアミノ酸数値により判断
上槽直前
アルコール添加をするのが本醸造タイプ:大吟醸、吟醸、本醸造、普通酒
アルコール添加しないで上槽 純米タイプ:純米大吟醸、純米吟醸、純米酒
日本酒の製造方法~貯蔵・出荷管理
蔵元によって貯蔵方法は異なる 生酒の状態で貯蔵 瓶詰め時火入れ→生貯蔵酒
生酒の瓶詰め→生酒
火入れ 容器(タンク)に貯蔵前に火入れ この状態で瓶詰め→生詰め 瓶詰め時に火入れ→通常(2度火入れ)