キッコーマン食文化講座
進化する味噌 ~だし入り味噌の開発とその進化~
日程 | 2014年2月26日 |
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場所 | 野田本社 |
講師 | 須田信広氏 |
主催 | キッコーマン国際食文化研究センター |
1,300年もの長い間食べ続けられてきた味噌。その味噌がこの30年でだし入り味噌へ、更に液みそへと進化をとげました。その進化とマルコメの考える味噌の今後の展望についてお話しました。
【1】だし入り味噌について
- 1味噌の歴史における「だし入り味噌」
- 1,300年の歴史を持つ味噌ですが、生産量はここ40年で4割減です。
- その中において、だし入り味噌は市場のニーズをとらえ、発売されて30年ですが、市場に出回るみその3割にまでなりました。
- そのだし入り味噌の大量生産設備の開発に成功し一躍業界トップに躍り出たのがマルコメです。
- 2開発の経緯
- きっかけは「おたくの味噌でみそ汁を作ったらまずかった」という消費者からの手紙でした。
- だしをとることの難しさや煩わしさを解消し、いつでも誰がやってもおいしいおみそ汁を作ることができる、だし入り味噌開発プロジェクトが立ち上がりました。
- 3開発苦労話
- 蔵出しになった味噌にだしを混ぜても、味噌のもつ酵素によってだしは分解されてしまいます。酵素を失活させ、かつ味噌の風味を損なわない加熱冷却装置の開発に1年を要しました。
- 1982年発売の「だし入り料亭の味」は今でも味噌販売金額No.1の商品です。
【2】液みそについて
- 1開発の経緯
- きっかけは、通販限定の味噌を液状化して販売したところ通常のものと比べて10倍売れたことです。
- 消費者調査で味噌に関する不満な点は①溶けにくい、扱いにくい②容器にベタベタと付着する③最後まで使い切りにくい。これらを一挙に解消すべくプロジェクトがスタート。
- 2開発苦労話
- 容量やボトル形状の選定もさることながら、①ボトルを傾けただけで流れ出る流動性②通常の味噌と同様の保存性③おいしさ。この3点をクリアする中身の設計に苦心しました。
- 2009年の発売から販売累計で1,500万本を突破し、順調に販売数量を伸ばしています。
- 3今後の展望
- ボトル入りの液みそは、もともとみそ汁サーバー用味噌の液状化技術をもとに作られましたが、今度はその液みそを、小型サーバー用の味噌として活用し、誰でも簡単におみそ汁を作ることのできるキカイ(みそ汁を作る機械であり、また、みそ汁が飲める機会)を提供していきます。
【3】マルコメが伝えたいもの
だし入り味噌「料亭の味」が発売されてから30年が経ち、その間に家族のカタチやライフスタイルが大きく変わりました。しかし、食卓を囲む家族や、母親のあたたかさは不変です。そんな中にいつまでもおみそ汁があり続けるように、求められる姿にお味噌はカタチを変えていきます。変わらないために、変えていく。日本のあたたかさを未来へ伝えていきたい。というのがマルコメの願いです。