自然がささえる草原の食卓
モンゴルの食卓
草原がもたらす手づくりの味
遊牧民の食卓は、家畜の恵みに依存する割合がとても高い特異な食です。長い間モンゴルでは「白い食べ物」と呼ばれる乳製品と、「赤い食べ物」と呼ばれる肉類の2つを食の基本としてきました。そこに現在は小麦粉を使った料理が食されるようになっています。お茶は「スーティツァイ」という乳茶です。食事の回数は1日2回です。そして野菜、果物の摂取は遊牧という生活形態のため、ほとんどありません。

食器棚には伝統的なモンゴルの模様が描かれている。右手の鍋には静置中のウルムがある

一般的な食卓風景。左の皿にあるのは自家製乳製品と自家製パン。右上は白いエーズギー、右下にはハイルマックがある

タラグ(ヨーグルト)・アイラグ(馬乳酒)など、草原でのもてなしの料理
朝は塩の入った「スーティツァイ」を飲むことから始まります。朝の献立はこの「スーティツァイ」と自家製乳製品のチーズが中心です。そして朝食後から夕食までの13時間近くは、食卓に置いたままの「スーティツァイ」と乳製品を取って過ごします。すべての仕事が終わった日没近くに夕食を取ります。献立は「ゴリルティショル」(肉うどん)や「ボーズ」(モンゴル風餃子)など、小麦粉を使った温かい食事です。

通常モンゴルでは各人が適宜に食事を取るため、家族そろって食卓を囲むことは稀である
朝食 | 間食 | 夕食 | |
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7月3日 | スーティツァイ(乳茶) アイラグ(馬乳酒) ウルム (乳脂肪を集めた乳製品) エーズギー (キャラメル状のチーズ) |
スーティツァイ アイラグ ウルム ビャスラク (カッテイジチーズを固めたようなチーズ) ヒツジの内臓 ボールツオグ(揚げドーナツ) |
スーティツァイ ボーズ(モンゴル風餃子) ヒツジの内臓 タルバガン (リス科の野生動物) |
7月4日 | スーティツァイ ウルム ビャスラク ハイルマック (ウルムと小麦粉をルー状にしたもの) |
スーティツァイ アイラグ ウルム ビャスラク アロール(酸っぱいチーズ) ボールツオグ |
スーティツァイ ボーズ |
7月5日 | スーティツァイ アイラグ ウルム ハイルマック ボーズ ボールツオグ |
スーティツァイ アイラグ アロール ボールツオグ |
スーティツァイ ゴリルティショル (肉うどん) |
【バスバタール家[夫・妻・次男・三女の4人家族]の食事(11日間の一部)】(1997年 調査資料より)