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ラクダの搾乳
ラクダは人に慣れにくく、五畜の中で最も扱いにくいが、乳は蛋白質、脂肪が高く、ラクダ乳酒を含め様々な乳製品に加工される |
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乳製品は「白い食べ物」と呼ばれ、その白い色は清純な心を表す印として愛され、大切にされてきました。またその種類も豊富で、様々な形となって毎日の食卓に出されます。
乳製品のつくり方は、搾乳した乳を夕方にまとめて鍋の中で静かに加熱しながら攪拌し、乳脂肪を上に集めます。そこに小麦粉を少々加えて翌朝まで置くことで乳脂肪が集まって膜を形成し、甘く上等なクリームの味がする「ウルム」という乳製品が出来上がります。翌朝すぐにこの「ウルム」を食べるほか、バターをつくる原料として保存したりします。 |
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乳の加熱
指で温度を測る。高温殺菌しても乳をそのまま飲むということはせず、発酵、分離、撹拌、こすなどしてその日のうちに種々の乳製品に加工する |
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ウルム(乳脂肪を集めた乳製品)
乳脂肪の比重が軽いため、翌朝まで静置すると、上層のウルムと下層の脱脂乳に分離する。ウルムはその日のうちに食べるか、保存してバターをつくる |
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ウマの搾乳
搾乳時間は2~3分で、1日に数回行う。1回で150~200cc程度とれる |
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「ウルム」製造後、脱脂された乳はそのまま加熱し、途中少量の発酵乳を加えてpHを下げます。その後、乳中に含まれるカゼイン(乳蛋白)を集めて「ビャスラク」という、カッテイジチーズを固めたような真っ白で淡白な味のチーズをつくります。
また、さらにじっくりと弱火で煮詰めて、褐色のミルクキャラメル状のチーズ「エーズギー」をつくります。
すぐにこのようなチーズへ加工しない場合は、脱脂乳を、家庭に常備されている乳の保存用の大きな発酵容器に加えます。容器の中には常に一定量の発酵乳が残されています。ここに脱脂乳を加え、微生物の働きを利用して発酵乳を増やします。発酵乳を加熱すると、乳に含まれる酸と熱によって、酸っぱい「アロール」という真っ白なチーズが出来ます。これらのチーズはいずれも戸外で乾燥させます。チーズの中でも「アロール」が、モンゴルの母の味として最も好まれています。
「ウルム」、「ビャスラク」、「エーズギー」、「アロール」の4つがスタンダードな乳製品です。
最初に貴重なエネルギー源である乳脂肪を取り、脱脂された乳を発酵させ、そこに熱を加えることで、連続的に乳中の成分を抽出しています。西洋式の乳加工では廃棄されている乳糖を多く含んだ乳清(ホエー)も、蒸留酒の原料、皮のなめしに利用され、成分を無駄にしないことが大きな特色です。モンゴルの乳加工は、乳の科学的な性質を経験的に理解し尽くした上で行われているのです。
自家製乳製品の天日干し
出来た自家製乳製品は戸外で乾燥させる。写真はゲルの上で干しているアロール |
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アロール(酸っぱいチーズ)
高発酵した脱脂乳を加熱すると、液体だった乳からにわかにカゼイン(乳蛋白)が凝集してくる |
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エーズギー(キャラメル状のチーズ)
脱脂され、弱火でじっくりと煮詰めた後、天日干しされた小さくて堅い褐色のチーズ。冬季の保存食として大量につくられる |
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ビャスラク(カッテイジチーズを固めたようなチーズ)
ウルムをとった後の脱脂乳を加熱し、そこに発酵乳を加えるとカゼインが固まってくる。それらを集めて、乳清(ホエー)を袋で除いているところ |
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夏季、これらの乳製品のつくりたてを食べることは「冬の肉食で疲れたお腹を白くする」として健康に良いといわれています。そして涼しい秋になると、「ウルム」をつくった後の脱脂乳に発酵乳を加えて静置し、「タラグ」(ヨーグルト)をつくります。「タラグ」は「下痢に効く」といわれているほか、離乳食としても利用されています。白く硬い乳製品は、子どもにとって食事であり、おしゃぶりの役割も果たしています。そして、乾燥して硬くなった「エーズギー」、「アロール」を冬の保存食として夏季の間に200kg前後貯えるのも、女性の大切な仕事です。長い間、草原ではヤギ、ヒツジの乳が乳加工の中心でしたが、20世紀に入ってからは泌乳量の多い牛乳がその中心となりました。
このようにモンゴルの乳加工は、西洋の乳加工におけるカビ利用、熟成とは異なっています。乾燥した気候は微生物の増殖を抑え、移動時にもコンパクトで遊牧生活に適した、栄養の詰まった各種乳製品をつくってきたのです。 |
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発酵乳容器
ウマ以外の乳を発酵させる専用の発酵容器で、棒は乳を発酵させるときに使う攪拌棒 |
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