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開国からまもなく1世紀半を迎えるわが国の食文化は、明治の文明開化を契機に、在来の食文化プラス西洋文化、さらに中国の食文化、加えて昨今はアジアの食文化が渾然一体となり、日本独特の食文化を構築してきた。振り返れば平安時代の唐風文化、ついで室町時代から江戸時代にかけての南蛮文化の到来がわが国の食文化の基礎となっていることはいうまでもない。しかし今日の食卓を改めて考えたとき、日本の伝統的な食文化は床の間に追いやられ、その中心を成しているのは洋食文化であることに気がつく。日本人でありながら洋食を食べない日はない。しかもその洋食は外来文化というより、日本の料理人に取り込まれアレンジされて、いまや折衷文化というより「洋食」と呼ばれる食文化に変身しているものがほとんどである。カレーライスしかり、トンカツしかり、ビフテキ丼、チキンライス、オムライスしかりである。お節料理ですら洋風と中華風に占領されているというのが現状である。しかし嘆いてばかりいてもなにも始まらない。これが日本の新しい食文化なのである。 |
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開港当時の横浜港(『横浜海岸通之図』) |
横浜開港資料館所蔵 |
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