マテリアリティ

重要な社会課題3分野

 キッコーマングループは、 「グローバルビジョン2030」の策定にあたって社会課題の解決に向けた貢献を重要な要素として掲げ、重要な社会課題(マテリアリティ)の議論を主に2017年に実施しました。その際の検討では、企業の社会的責任推進委員会(現・サステナビリティ委員会 以下同)事務局が中心となって[社会にとっての重要な社会課題]と[キッコーマンにとっての重要な社会課題]の二軸で、「気候変動」「人権」「健康」などの26の重要課題を抽出しマッピングし、リスクと機会について分析を行いました。

 その内容を経営会議で報告・討議し、大きな方向性として、「地球環境」「食と健康」「人と社会」の重要な社会課題3分野を特定しました。特定した重要な社会課題3分野は堀切代表取締役社長 CEO(当時)が責任者として決定し、取締役会への報告を行いました。その後、「グローバルビジョン2030」とあわせて2018年に公表しました。

社会課題3分野

中期経営計画 2022-2024でのマテリアリティ評価

 「グローバルビジョン2030」の実現に向けた中期目標として、当社グループは中期経営計画2022-2024(中期経営計画)を策定しました。中期経営計画の検討にあたっては、「重点課題」としてサステナビリティについての討議を行い、その一環として2021年から2022年にかけてマテリアリティ評価を実施しました。この評価プロセスを通じて、重要な社会課題3分野に基づいたより具体的なマテリアリティの整理と目標の設定を行いました。検討にあたっては企業の社会的責任推進委員会 事務局が中心となりデータや外部指標などを整理し、主にグループ経営会議で討議・検討を行いました。

<マテリアリティ 全体像>
マテリアリティ 全体像地球環境
地球環境
食と健康
食と健康人と社会
人と社会

マテリアリティ評価プロセス

<評価プロセス>
プロセス外部基準の参照

 評価プロセスの初期段階の作業として、SDGs169のターゲット、SASBSustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ会計基準審議会)の食品産業向け基準、複数のESG評価機関が提示する基準を参照し、食品企業に求められる取り組み内容の網羅的な調査を実施し、重要な項目の洗い出しを行いました。

キッコーマングループの強みや価値観

 キッコーマングループには長い歴史があり、その中で培われた企業文化や価値観があります。マテリアリティ評価では、私たちが進むべき方向性の重要な要素として、キッコーマングループの強みや価値観についての討議を経営会議などの会議体で実施しました。その討議内容を企業の社会的責任推進委員会 事務局が中心となって整理し、「自然のいとなみ」「食のよろこび」「グローバル」といった当社グループ共通の強みや価値観を抽出しました。こうした強みや価値観は、当社グループにとっての機会につながると認識しています。

 

社会からの期待

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、国際連合食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)といった国連機関やWorld Resources InstituteWRI)等の国際機関が発行する報告書をインプットパラメータとして、2050年に向けて社会がどのように変化するのかを分析しました。ほぼすべての報告書に共通する課題として、人口の増加とそれに伴う栄養課題、農作物の供給不足が指摘されていました。また、それに関連して、無計画な農地の拡大による生物多様性の損失や熱帯雨林の伐採による気候変動問題などの指摘もありました。こうしたリスクについての指摘がある一方で、持続可能な開発の実現に向けた国際的な枠組みやパートナーシップの進展もあり、豊かな社会に向けた可能性や機会の示唆を得ることができました。

 

将来の社会像

 マテリアリティ評価を通じて抽出したリスクと機会をもとに、主に経営会議で討議を行い、中期経営計画の重点課題として「事業活動を通じ、社会課題解決に貢献」を定めました。また、重要な社会課題3分野に基づいて、それぞれにリスクと機会を分析してテーマと目標を策定しました。負の影響のリスクを高める活動としては主に環境負荷を想定し、気候変動や水環境などに対策を反映させました。これらが中期経営計画2022-2024にまとめられています。この内容は中野代表取締役社長 CEOが責任者として決定し、当社取締役会への報告を行いました。

 

社会課題に関するテーマと目標の策定

 社会からキッコーマングループに期待されている取り組みを調査するために、ステークホルダーからのアンケート調査とヒアリングを実施しました。この調査を通じて、客観的な視点から、当社グループにとってのリスクと機会の把握につなげました。顧客を代表して、日本国内で取引のある流通大手にアンケートを依頼するとともに、大豆などの調達で関係の深いサプライヤーの意見を伺いました。また、消費者の声を把握するため、サステナビリティに関心が高い国内外の消費者の動向に詳しい団体の代表にアンケートとヒアリングを実施しました。加えて、複数の機関投資家にアンケートを実施するとともに、サステナビリティに詳しい専門家からキッコーマングループへの期待を伺いました。上記のアンケートやヒアリングにあたっては、国際的なESG指標などをもとにした質問票を作成し、キッコーマングループに期待する取り組みの優先順位をつけていただきました。その優先順位をもとにスコア化するとともに、定性的な内容については記述または個別のヒアリングで意見を伺いました。