人権の尊重

キッコーマングループはグローバル企業の一員として、組織内ならびバリューチェーン全体を通して人権を尊重する責任を果たすことで、キッコーマングループ経営理念の実践に取り組んでまいります。

方針

当社グループは2020年12月、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、「国際人権章典」や、国際労働機関の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」などの人権に関する国際的な規範への支持と尊重を定めた「キッコーマングループ人権方針(人権方針)」を策定しました。また当社グループでは人権方針を周知徹底するために、10言語に翻訳し、国内外グループ会社に展開しています。

さらに、当社グループが企業活動を行う中でサプライヤーと協働で取り組む内容について、「キッコーマングループ持続可能な調達方針」を定め、方針に基づいたガイドラインとして「容器包装ガイドライン」「森林資源利用ガイドライン」「大豆調達ガイドライン」を制定し、より具体的な活動の推進につなげています。

推進体制

当社グループはCHO(最高人事責任者)のもと、キッコーマン(株)、キッコーマン食品(株)、キッコーマンビジネスサービス(株)が中心となり、取り組みをすすめています。サステナビリティ委員会でグループ全体の取り組み状況のモニタリング・レビューを行ったうえで、取締役会に報告を行います。

推進体制 推進体制

人権デューディリジェンスの実践

バリューチェーンにおいて起こりうる人権への負の影響を把握するために、2021年12月に経済人コー円卓会議日本委員会の協力のもと、インパクトアセスメントを実施しました。

人権インパクトアセスメント実施プロセス 人権インパクトアセスメント実施プロセス

人権インパクトアセスメントで得られたデータの分析・評価に基づいて、2つの重要な人権テーマを特定しました。

① サプライチェーン上の人権リスク(原材料調達先の生産者)(製造委託先の外国人労働者)

② 国内外の自社工場における外国人労働者の把握

人権テーマに対する取り組み

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サプライチェーン上の人権リスク

サプライヤーへの啓発活動・調査

    • 主要なサプライヤーに対してSedex※1を活用したアンケートを実施し、サプライヤー11社が回答
    • サプライヤー説明会の実施

2023年1月、キッコーマン(株)は他のバイヤー会員と共同で、日本国内のサプライヤーを対象とした「Sedexサプライヤー会員向け合同説明会」を開催し、「ビジネスと人権」に関する情報提供とSedexへの加入を要請。製造委託先の7社が説明会に参加。

  • 製造委託先38社へ「キッコーマングループ人権方針」および「ビジネスと人権」の考え方を周知

物流委託先での労務環境改善の働きかけ

    • キッコーマングループの国内物流を担う総武物流による、物流委託先へのヒアリングを実施
    • 具体的な改善策として、キッコーマン食品(株)と連携し、以下の取り組みを実施
    • 出庫業務のシステム化によるドライバーの荷待ち時間の削減
    • 発注リードタイムを延長することによる作業・配車面の無駄の削減
    • 配達先での不適切な作業の改善
    • トラックドライバーの労働時間短縮を目的として、分散していた出荷倉庫を統合
  • キッコーマン食品(株)は「ホワイト物流」推進運動※2の賛同企業として自主行動宣言を提出
  1. ※1Sedex(Supplier Ethical Data Exchange):サプライチェーンにおける「労働条件を管理・改善する」ためのオンラインプラットフォーム
  2. ※2「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト
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国内外の自社工場における外国人労働者の把握

国内外グループ会社への調査

キッコーマン(株)では、毎年、外国籍社員の就労環境について調査を行っており、これまでの調査において、人権侵害につながるような兆候は確認されていません。

年度 取り組み内容
2022 人事担当者向けアンケート・ヒアリング調査を実施
対象キッコーマン(株)+国内グループ会社21社
2023 人事担当者向けアンケートを実施
対象キッコーマン(株)+国内グループ会社22社
キッコーマン(株)が外国籍社員を雇用している国内グループ会社の人事担当者および現場責任者へのヒアリング、現場視察、外国籍社員との直接対話を選択的に実施
2024 人事担当者向けアンケート、またはSMETA監査を用いた調査を実施
対象キッコーマン(株)+国内グループ会社22社+海外製造拠点5社
第三者機関※1と共同で、外国籍社員を雇用している国内グループ会社の人事担当者および現場責任者へのヒアリング、現場視察、外国籍社員との直接対話を選択的に実施
  1. ※1一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(ASSC)

国内グループ会社への啓発活動

2023年度、国内グループ会社に対して外国人労働者の雇用に関するガイドラインを配布し、外国人労働者の雇用に関する注意点を周知徹底しました。

社内での啓発活動

キッコーマングループでは人権尊重の考え方をグループ内に浸透させるため、様々な啓発活動を行っています。

    • 新入社員向け研修

毎年、新入社員を対象とした「ビジネスと人権」に関する研修を行い、キッコーマングループ人権方針や「ビジネスと人権」の考え方について、周知徹底しています。

    • 「ビジネスと人権」に関する研修

2023年度から2024年度にかけて、キッコーマングループ人権方針の理解浸透及び「ビジネスと人権」に関する基礎知識の習得を目的としたEラーニング形式の研修を実施し、約4,800名の社員が参加しました。

    • 海外拠点向け「ビジネスと人権」に関するワークショップ

2023年度、SDGパートナーズ有限会社と共同で海外拠点向けに「ビジネスと人権」に関するワークショップを地域別(米州、欧州豪州、亜州)に実施し、キッコーマン(株)、JFCジャパン(株)、海外グループ会社の各部署より計43名が参加し、国や地域特有の人権リスクを確認するとともに、人権リスクに対する取り組みについてディスカッションを行いました。

    • ハラスメントに関する研修

ハラスメントの発生を未然に防ぐため、全社員に対して継続的に研修を行っています。

救済

キッコーマングループでは社員向けに相談・苦情を受け付ける窓口を設置しています。

    • 内部通報制度

内部通報窓口として「企業倫理ホットライン」を設置しています。企業倫理ホットラインには社外窓口(弁護士)と社内窓口(企業倫理委員会事務局)があり、専用電話、ファックス、eメールのほか、郵便局に設置した私書箱を通じて通報や相談を受け付けています。これらの窓口に通報があった場合は、社内調査を実施し対策を講じたうえで、キッコーマングループ企業倫理委員会にて対応を審議し、結果を相談者にフィードバックしています。なお、相談や通報をしたことで情報提供者に不利益が生じないよう、「キッコーマングループ企業倫理委員会規則」に情報提供者の保護を明記しています。相談できる対象者はパート社員や派遣社員も含まれており、内部通報制度の拡充を図っています。

    • ハラスメント窓口

主要事業所に人事部門を統括とした相談窓口を設置しています。

外部イニシアティブへの参画

  • 国連グローバル・コンパクト(UNGC)

キッコーマン(株)は、2001年に「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名しました。当社はUNGCの10原則に基づいた事業活動を行うとともに、UNGC日本事務局が主催している分科会に積極的に参加し、他社や学識経験者とのネットワークを構築しています。

  • ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)

キッコーマン(株)は、消費財小売業者と製造業者をグローバルに結ぶ世界で唯一の組織であるザ・コンシュマー・グッズ・フォーラム(CGF)に参加しています。CGFは、非競争分野において、グローバルと地域のワーキンググループで専門組織を構成し、社会的・環境的課題に取り組んでいます。
日本では、「サステナビリティ」、「地球温暖化」、「より健康的な生活」「食品安全」の分野でローカルグループを立ち上げ、課題解決に向けて協働を呼びかけ、活動をしています。

    • 国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)

キッコーマン(株)は、2022年に生団連の「外国人の受け入れに関する基本指針」に賛同し、当社としての指針を採択しています。