生物多様性

生物多様性は自然環境を支える重要な役割を果たしており、生物多様性が生み出す生態系サービス(資源の供給、気候の緩和、文化的な価値、水循環など)は私たちの生活に欠かすことはできません。その一方で、世界中で生物多様性の損失が急速に進行しており、懸念される状況になっています。

キッコーマングループでは、1992年に制定した環境理念において「自然のいとなみを尊重し環境と調和のとれた企業活動」を行うと掲げています。環境理念に基づき、私たちは生物多様性の保全と持続可能な利用を、企業活動の中に組み込みながら実践してきました。私たちの商品には水資源を使用することから、特に水環境への配慮と地域との共生を主にその活動の軸として取り組んできています。今後は、バリューチェーン全体を通じた生物多様性を中心とした自然資本への影響や自然関連リスクの把握と生物多様性保全に向けた活動を推進します。こうした取り組みにより、自社の事業活動の生物多様性へのプラスの影響がマイナスの影響を上回るようにし、2030年までに2020年の状態を超えて自然が回復する「ネイチャーポジティブ」の実現への貢献をめざしてまいります。

2022年度、当社グループはLEAPアプローチ(※1)を用いて当社グループの事業及びバリューチェーンに関連する生物多様性との影響・依存についての全体像を把握するプロジェクトを実施しました。本プロジェクトでは外部専門家の意見を踏まえて、当社グループの事業内容や取り扱う主要な原材料(大豆、小麦、トマトなど)をもとにENCORE(※2)による初期評価をベースに、自社事業・バリューチェーンに当てはめて影響・依存関係を調査しました。その結果、「水資源の利用」「原材料調達」「地域の環境保全」といった分野の取り組みが特に重要という結論を得ました。今後、機会とリスクの整理を行い、対応を検討し、より詳しい情報開示に向けた準備をすすめます。

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※1 LEAPアプローチ:民間企業が自然への依存と影響を評価するためのガイダンス。自然資本や生物多様性に関するリスクや機会を民間企業や金融機関が評価・開示するための枠組みを構築する国際的な組織であるTaskforce on Nature-related Financial disclosuresTNFD)が提示。「LEAP」は、以下のプロセスの頭文字をとったもの。

・自然との接点を発見(LocateL
・依存と影響を診断(EvaluateE
・リスクと機会を評価(AssessA
・リスク・機会への対応と開示を準備(PrepareP

2 ENCOREExploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure):民間企業の自然への影響や依存度の大きさを把握することを目的に、国際的な金融機関のネットワーク「自然資本金融同盟(Natural Capital Finance AllianceNCFA))」及び「国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)」などが共同で開発したツール。

▶主な取り組み 生物多様性の保全