しょうゆの地域特性とその形成要因
しょうゆの地域特性とその形成要因
人には五感があります。見る、聞く、嗅ぐ、触る、そして味わうことです。その感じ方は人それぞれで、他の人と全く同じ体験をするということはありません。それは、感覚がその人の生まれ育った環境、土地や気候だけでなく家庭や時代などにより、それぞれの経験値として備わってゆくものだからです。
一方、同じ環境、条件を共有した人たちは感じ方が似てくるということも事実です。例えば家族や、同じ郷里に暮らす人々の感覚は共通項を持っている場合が多いと言えます。それこそが「文化」と呼ばれるものの根源なのでしょう。
これまで足掛け4年にわたり日本各地のしょうゆの地域特性とその形成要因について研究を進めてまいりました。調査を進める中で、各地の食嗜好の形成は想定した以上に様々な要因により、地域が細分化されていることや、高度情報化社会の進展による情報の均質化と世代交代の中で、各地域の記憶は薄れつつあるものの、それぞれの地域の文化が味覚として継承されていることが分かってきました。