しょうゆの地域特性とその形成要因
意外に多い混合しょうゆの地域分布
九州は、50%以上の製造を混合しょうゆとしている醸造所が多い。また、東北、北陸、中国・四国も混合しょうゆの比率が高い醸造所が多い傾向が見られる。ヒアリングでも、九州に甘味のあるしょうゆが多い傾向が見られるだけでなく、愛媛、高知などの四国、富山などの北陸でも甘いしょうゆが確認され、混合しょうゆの比率の高い地域とほぼ一致した。
混合しょうゆには、アミノ酸液や酵素分解調味液などだけでなく、甘味原料が添加されている事例が多く見られる。複数の甘味や酸味などをブレンドして微妙な味わいの違いを調整することで、地域の好みに合う工夫が行われたと思われる。戦中や戦後の混乱期に経験した製品の品質を少しでも高めるための工夫は、戦後、混合の仕方で味の調整ができる混合しょうゆを各地の味として受容・定着していったともいえる。
