しょうゆの地域特性とその形成要因
多様なしょうゆとしょうゆ加工品の製造

 北海道の昆布しょうゆ、東北地方のだししょうゆなどが知られているが、太平洋側の各地でしょうゆ加工品の製造比率の高い醸造所が多いことが分かる。各醸造所の主力商品も、昆布しょうゆ、えごましょうゆ、鰹節だししょうゆ、つゆなどが見られる。
 使用する側から見ても、どの料理にも同じしょうゆを用いるとは限らず、中国、四国、九州では刺身は濃い刺身しょうゆや甘口のつけしょうゆを使い、煮物、汁などには淡口しょうゆ、関西では煮物に濃口か淡口を、刺身にはたまりを使うところも見られる。これに加え、最近は、めんつゆ、だししょうゆなどをしょうゆの代わりに使用するところが増加している。
 時代によるしょうゆ製造の変化と戦後の食生活の変化は、本醸造しょうゆの「本物」志向と、混合しょうゆの甘味を含む味への愛着を志向する立場の混在をもたらした。さらに生活スタイルの変化により、簡単に味を調節できるだししょうゆなどへの志向が加わり、現代は多様なしょうゆを求める時代と言える。

多様なしょうゆとしょうゆ加工品の製造