官能評価 日本各地のしょうゆの官能的特徴
官能評価の手法を用いて、日本各地のしょうゆの品質の違いを初めて科学的に示しました。日本10地域の代表的なしょうゆを用いて官能評価を行い、各地のしょうゆの品質を明らかにしました。その結果、香りや味の特徴により、日本各地のしょうゆを、“塩味が強い”タイプ(6~8)と“昆布風味、まろやかさ及び旨味が強く、塩味が弱い”タイプ(1~5)の大きく2つに、詳しくは8つに分類しました(図)。また、しょうゆの使い方により、日本の10地域は“塩味が強いしょうゆのみを使用する地域(東北、関東外郭、中京)”、“塩味が強いしょうゆを主に使用し、その他のしょうゆも使用する地域(北陸、首都圏、近畿、四国)”、“塩味が強いしょうゆ以外を主に使用する地域(北海道、中国、九州)”の3つに区分されることを明らかにしました1)。
日本各地のしょうゆの官能的特徴

塩味が強いしょうゆのみを使用する地域
- 東北
- (7): 塩味、刺激的な香りが強い(24.8%)
(6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(19.9%)
- 関東外郭
- (7): 塩味、刺激的な香りが強い(33.6%)
(6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(12.3%)
- 中京
- (6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(33.1%)
(7): 塩味、刺激的な香りが強い(17.3%)
塩味が強いしょうゆを主に使用して、その他のしょうゆも使用する地域
- 北陸
- (6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(16.7%)
(7): 塩味、刺激的な香りが強い(12.9%)
(2): 昆布風味、まろやかさ、旨味、沢庵漬け風味が強く、塩味が弱い(4.5%)
(3): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味が弱い(4.3%)
(8): 塩味が強い傾向がある(2.3%)
- 首都圏
- (7): 塩味、刺激的な香りが強い(31.3%)
(6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(12.8%)
(4): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味、鰹節風味、べたつきが弱い(7.8%)
- 近畿
- (7): 塩味、刺激的な香りが強い(29.8%)
(8): 塩味が強い傾向がある(12.0%)
(6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(10.5%)
(4): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味、鰹節風味、べたつきが弱い(3.0%)
(1): 昆布風味、まろやかさ、旨味、鰹節の香りが強く、塩味が弱い(1.0%)
- 四国
- (7): 塩味、刺激的な香りが強い(21.9%)
(8): 塩味が強い傾向がある(12.5%)
(6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(3.6%)
(1): 昆布風味、まろやかさ、旨味、鰹節の香りが強く、塩味が弱い(2.8%)
(4): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味、鰹節風味、べたつきが弱い(2.2%)
塩味が強いしょうゆ以外を主に使用する地域
- 北海道
- (5): 昆布風味、まろやかさ、旨味、昆布の香りが強く、塩味が弱い(22.8%)
(7): 塩味、刺激的な香りが強い(21.4%)
- 中国
- (3): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味が弱い(12.8%)
(1): 昆布風味、まろやかさ、旨味、鰹節の香りが強く、塩味が弱い(8.6%)
(7): 塩味、刺激的な香りが強い(8.5%)
(6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(3.2%)
(4): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味、鰹節風味、べたつきが弱い(2.0%)
(8): 塩味が強い傾向がある(2.0%)
- 九州
- (2): 昆布風味、まろやかさ、旨味、沢庵漬け風味が強く、塩味が弱い(16.4%)
(3): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味が弱い(7.3%)
(6): 塩味、沢庵漬けのにおいが強い(7.2%)
(7): 塩味、刺激的な香りが強い(2.9%)
(4): 昆布風味、まろやかさ、旨味が強く、塩味、鰹節風味、べたつきが弱い(2.0%)
- ※(1)~(8)の数値はしょうゆの分類を指す
- ※%は各地域のシェアを示す
引用文献
- 1大友裕絵, 今村美穂, 佐々木努, 木津邦知: FOOD CULTURE, 26, 3-6 (2016)