環境マネジメントの推進
ISO14001

キッコーマングループは、グループ環境方針と目標達成のためのツールとしてISO14001を活用しています。 2011年6月に日本国内では一括認証を、また海外主要拠点もそれぞれ取得し、より高いレベルの環境マネジメントを推進しています。
環境関連法令はもとより、自主的に定めた法令よりも厳しい管理基準を順守し、日常業務に環境リスクの低減を織り込んでいます。また、私たちはステークホルダーとの情報共有に努め、グループ内外の情報、技術、経験を環境保全活動に活用しています。
ISO14001の実践
キッコーマングループでは、会社、事業所、環境関連施設(排水処理・廃棄物保管施設など)の管理者、ISO14001事務局担当者などの間で円滑な交流を図るとともに、各種環境情報(法令の発効・改定、他の事業所でのISO14001の運用状況、環境関連施設の稼働状況や問題点、公害防止・環境保全に関するノウハウや新技術など)の共有化を推進しています。

(2024年11月 北海道キッコーマン)

2012年度から始めた「環境ヒヤリハット報告」も、そのひとつです。
「環境ヒヤリハット報告」は、企業活動の中に潜んでいる、環境汚染などに結びつく危険性のある事象――それゆえに、心理的にヒヤリとしたり、ハッとしたりした経験(環境ヒヤリハット)――が事業所で発生した場合に、報告を義務付けるシステムです。「環境ヒヤリハット」が発生した事業所では、事象発生原因を調査し、再発防止策を検討したうえで、報告書をとりまとめます。そして、これらの報告書が各事業所に配布されることにより、情報の共有化と、環境汚染などの事前抑止力の向上が図られています。
ISO14001認証維持審査
ISO14001認証取得事業所は、定期的に外部の認証機関によるISO14001認証更新・維持審査を受けるとともに、審査結果の水平展開などを通して事業所間での情報の共有化を進め、さらなる環境マネジメントのレベル向上を図っています。

ISO14001認証維持審査
(2025年4月 キッコーマンソイフーズ埼玉工場)

(2025年4月 マンズワイン勝沼ワイナリー)
ISO14001内部監査員養成研修
毎年1回、社外の専門講師を招き、内部環境監査員養成講座を開催しています。受講したキッコーマングループ各社の社員は、環境マネジメントシステム(Environmental Management System(EMS))、ISO14001規格要求事項、内部環境監査などについて学び、新たに内部環境監査員となります。

(2024年9月 キッコーマン野田本社)

(2025年9月 キッコーマン野田本社)
ISO14001エリアEMS事務局 合同勉強会
2024年度、キッコーマン環境部の社員が講師となり、キッコーマングループ内の各社、各事業所のEMS事務局を対象として、合同勉強会を開催しました。
勉強会の目的は以下の通りです。
1.ISO14001:2015規格要求事項の理解
2.エリアマニュアル・管理規定の理解・確認
3.参加者間のコミュニケーション強化

(2024年10月 流山キッコーマン)

(2024年10月 キッコーマンソイフーズ岐阜工場)
ISO14001内部監査員力量向上勉強会
2025年度、内部監査における主旨を再認識し、有効な監査を実施するための力量を保持するため、キッコーマングループ内の各社、各事業所の内部監査員を対象として、ISO14001内部監査員力量向上勉強会を開催しました。
キッコーマン環境部の社員によるデモンストレーションを受けて、実践訓練を繰り返すことにより、監査手法の習得、レベルアップを図りました。

(2025年9月 キッコーマン野田本社)

産業廃棄物の適正処理
キッコーマングループでは、産業廃棄物を分別し、可能な限りの減量化・再資源化をすすめています。国内では、産業廃棄物を行政の許可を得ている専門の収集運搬業者、中間処理業者に委託しています。また、「キッコーマングループ廃棄物に関するガイドライン」を定め、適正な処理に努めています。2024年度、キッコーマングループでは排水および廃棄物の重大な漏出または有害廃棄物の輸送における公害や環境被害は発生しませんでした。
廃棄物に関するガイドライン
キッコーマン環境部では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に則った適正処理を継続していくため、グループ全体で引用するガイドラインを作成しています。このガイドラインは、キッコーマングループにおける廃棄物(有価物を含む不要物)の保管から排出・最終処分の完了確認までの基本的な指針を示すもので、廃棄物処理法及び関連法令を順守することに加え、
○法令に基づく判断や対応があいまいになる点
○法令で求められる以上に排出者責任を果たす行動(遵守)
について、キッコーマングループの規則として作成しています。
なお、このガイドラインは定期的な見直しを実施しており、また、関係法令が改正される際には随時改定を行っています。
産業廃棄物処理業者の実地確認
キッコーマングループでは、グループ内から排出された産業廃棄物がどのように最終処分(埋立または資源として売却される)まで至るのかを確認するため、計画的に産業廃棄物処理施設を訪問し、実地確認を行っています。
今後も継続的に実地確認を行い、産業廃棄物の適正処理に努めます。


産業廃棄物管理者研修
「産業廃棄物管理者研修」は、国内主要事業所の廃棄物管理者を対象とした研修で、外部の専門家を講師に迎え、廃棄物の分類、関連法規と排出者責任、収集運搬及び処分業者の選択や委託契約、産業廃棄物管理票や電子マニフェストの取り扱いなど、管理上必要な基本的事項から最新の技術まで、幅広く学ぶことができる内容になっています。研修終了後にはテストを実施し、出席者の習熟度や力量を測っています。

(2024年11月 キッコーマン野田本社)
営業拠点別廃棄物研修会
2025年8月~11月にかけて、キッコーマングループの国内主要営業拠点向けに廃棄物研修会を実施しました。廃棄物に関する基礎知識や過去に発生した事例をもとにした対応方法などを説明し、各拠点担当者の力量向上を図りました。

(2025年9月 キッコーマン九州支社)

(2025年9月 キッコーマン近畿支社)
社員への環境教育
新入社員研修

(2025年4月 キッコーマン野田本社)

(2025年4月 キッコーマン野田本社)
キッコーマン環境部は、定期入社の新人に対して、環境問題の重要性認識、基本的知識の習得を目指した研修を毎年行っています。2025年度も、4月に新入社員に対して研修を行い、環境を巡る地球規模の問題を指摘し、キッコーマングループの環境ビジョン、実行されている施策、そしてその成果を説明しました。
海外視察と従業員への環境教育
キッコーマン環境部は、毎年海外の1地域を選び、地域内にあるキッコーマングループの拠点の巡視や環境関連施設の視察、従業員への環境教育を行っています。
| 2023年度 アジア地域 |
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|---|---|
| 2024年度 ヨーロッパ地域 |
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| 2025年度 アメリカ地域 |
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(2023年9月 KSP(シンガポール))

(2023年9月 SDM(タイ))

(2024年10月 KFE(オランダ))

(2024年10月 JFCEU(ドイツ))

(2025年9月 KMP(アメリカ))

(2025年9月 KFI(アメリカ))
環境表彰
キッコーマングループは、2018年度に「環境表彰」制度を新設しました。
これは、キッコーマングループの中期環境方針達成に向けて、グループ企業の事業所や個人が行う、環境負荷の低減への取り組みや、自然共生・循環型社会の実現に向けた取り組みの中から、優れた活動を選び、それぞれの長所を全社で共有する表彰制度です。
2022年4月、「第2回環境表彰」が行われました。2019年4月から2022年3月の間にキッコーマングループ事業所内で行われた環境活動例を対象にしたところ、27件の応募があり、2022年11月29日に開かれた「環境保全推進委員会」で以下の活動が選ばれました。
- 最優秀賞
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- キッコーマン食品 野田工場製造第 1 部 製麹 G「円型製麹 蒸気量削減」
- 優秀賞
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- キッコーマン CC 部 社会活動 G 「食のサステナビリティをテーマにした料理講習会を実施」
- キッコーマン食品 野田工場製造第 2 部 チーム中根 「プレートヒーターのCIP 洗浄プログラム変更」
- キッコーマンフードテック 西日本工場 製造第1/第 2G「設備の容量アップおよび冷却水・洗浄水最適化による用水削減」
- 優良賞
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- キッコーマンフードテック 江戸川工場 エキスG/穀類 G/生産管理 G 「オペレーターのボイラー停止による CO2 排出量削減」
- キッコーマンソイフーズ岐阜工場 環境保全 G「充填室空調機更新による電気使用量及び用水使用量削減」
- 8 事業所[SF岐阜工場、総合病院、埼玉キッコーマン、R&D(中央研究所及び醸造開発センター)、 野田本社、KF野田工場、KFT中野台、KFE]「電力の 100%再エネ活用による CO2 排出量削減」
- Good Action賞
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- キッコーマンクリーンサービス「野田本社の廃棄物削減」
- キッコーマン食品 東北支社仙台営業課加工用 G「加工用得意先での SDGs講習会」
2023年1月11日、キッコーマン野田本社で表彰式が行われ、受賞した工場・事業所に対し、表彰状と盾が授与されました。

環境標語
2021年6月、キッコーマングループは国内全従業員を対象に、環境標語募集を行いました。これは、全従業員に環境保全の重要性を認識してもらうために2017年に行った募集の第2弾にあたるものです。応募総数は前回を上回る1028作品。3段階の審査を経て、以下の16作品が入選しました。
大賞
- 脱炭素! 未来につなげる 第一歩
金賞
- フ―ドロス 作る責任 廃棄ゼロ
- これからは サステナブルが あたりまえ
- 製造者つくる責任最後まで、未来に残そうきれいな地球
- SDGs 未来に向けた 合言葉
- 減らそうフードロス つくろうおいしい記憶、皆で取り組む環境活動
- いつまでもあると思うな水資源 この一滴を大切に
銀賞

- 見直そう 買いすぎ 捨てすぎ 作りすぎ
- ECO活動 変えるは自分の意識から
- 環境を 守る一手を あなたから
- 「もったいない!」地球が喜ぶ エコワード
- 温暖化 地球が発する SOS
- 今すぐに あなたの変化が 地球を守る
- エコ活動 出さない 捨てない 汚さない
- どの川も 母なる地球の 大動脈
- この先も 自分で守る 水の星
8月の表彰式には、受賞者を代表して大賞受賞者が出席し、表彰状と盾が授与されました。
排水処理施設管理者研修
「排水処理施設管理者研修」は、キッコーマングループの国内主要事業所の排水処理施設管理者を対象とした研修で、毎年、排水処理の専門家から最新の排水処理技術に関するレクチャーを受けています。
2024年度は事前学習のeラーニング、対面講習会に加えて、東京都昭島市にある栗田工業株式会社の研究開発拠点「Kurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)」を訪問し、水と環境に関する最先端の施設を見学しました。

排水処理施設管理者研修
(2024年7月 「Kurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)」)

社外評価
キッコーマングループは、社外団体による調査に、積極的に参加し、自社の環境保全活動に対する公平性・客観性の高い評価を得ることにより、自社の活動のより改善・改良へとつなげるように努めています。
日経「SDGs経営調査」
2024年に行われた調査では、キッコーマングループの総合ランキングは「星4」(偏差値60.0)でした。内、環境価値については偏差値62.5で、特に、「脱炭素の推進」「消費電力の把握・削減実績」の指標で高評価を得ました。
東洋経済「CSR企業ランキング」
財務および社会的責任(CSR)の両面から評価して順位付けした東洋経済「CSR企業ランキング2025年版」では、キッコーマングループの「環境」に関する評価は91.3ポイントで、上場企業全体での順位は71位でした。CSR全体での総合順位(上場企業)は165位で、食品製造業では7位となりました。
CDP

CDPは英国を拠点とし、企業や自治体に、環境問題対策に関して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動としている非営利組織です。
キッコーマングループは2024年、「気候変動」「フォレスト」「水セキュリティ」の質問書に回答し、「水セキュリティ」では最高評価の「Aリスト」に選定されました。
また、「気候変動」は「B」評価、今回初めて回答した「フォレスト」も「B」評価となりました。

キッコーマン株式会社は、2024年開示サイクルにおけるCDPサプライヤーエンゲージメント評価(SEA)で最高評価のサプライヤーエンゲージメント・リーダーに選定されました。
SEAは、企業が気候変動課題に対してどのように効果的なサプライヤーとの協働を行っているかを評価するもので、「ガバナンス」「目標」「スコープ3排出量」「バリューチェーン・エンゲージメント」が評価対象となっています。
環境マネジメントの推進に関する個々の活動については、「キッコーマングループ 環境保全活動事例集」にまとめてあります。