容器・包装の工夫

キッコーマングループにおける体制

2008年3月、キッコーマングループは「容器包装に関する指針」を明文化し、お客様の利便性と安全性を高め、減量化、再生利用など環境負荷低減を目指す姿勢を明確にしました。

容器包装に関する指針

キッコーマングループは、地球環境への負荷が少なく、お客様にとって安全で使いやすく、製造・輸送・保管・販売に適した容器包装の調達、開発、商品化を行う。

  1. 1容器包装の減量化に努める。
  2. 2リターナブル容器包装の導入、使用に努める。
  3. 3分別や再利用しやすい形状設計および材質を検討してその実用化に努めると共に、各国法令等を順守し、再商品化を促進する。
  4. 4持続可能な資源の利用に努める。
  5. 5環境に配慮する企業からの調達を推進する。
  6. 6人体に安全な材質・形状の資材を使用する。
  7. 7お客様の要望、購入・使用状況を反映した容器包装の開発に努める。
  8. 8多様なお客様にも使いやすいユニバーサルデザインを考慮した容器包装の開発に努める。

しょうゆの容器包装に関する歩み

しょうゆは、古くからある調味料です。しょうゆがいつ頃から用いられるようになったのかはよく分かってはいませんが、飛鳥時代の法令「大宝律令」の中に、宮中にしょうゆの前身と見られる「醤(ひしお)」の製造や管理に関する部署があったとの記述があります。そうしたしょうゆの長い歴史における容器包装の歩みを眺めると、古くから環境面への配慮や工夫が凝らされていたことが見てとれます。

コンプラ瓶(びん)(キッコーマン国際食文化研究センター所蔵)
コンプラ瓶(びん)
(キッコーマン国際食文化研究センター蔵)
結樽(ゆいだる)(キッコーマン国際食文化研究センター所蔵)
結樽(ゆいだる)
(キッコーマン国際食文化研究センター蔵)

昔からしょうゆなどの容器として用いられてきた甕(かめ)、壺、瓶などの陶磁器や、しょうゆが主要な生産拠点で工業的に大量に生産されて全国各地へ輸送されるようになる江戸時代の前期頃から用いられるようになった杉板の結樽は、「リサイクル可能な(リターナブル)容器」として、洗浄され、再利用されていました。
そのため、空き容器(陶磁器や樽)の仲買人や貸出業者の他に、割れたり欠けたりした陶磁器を白玉粉や粘土などを使って修理する「焼きつぎ屋」や大きな酒樽を分解して小型のしょうゆ樽「潰樽(つぶしだる)」につくり替える職人までもおり、こうした人々が容器リサイクル推進に一役買っていました。

1)ガラス(びん)

以前のガラスびん
   以前のガラスびん

明治時代になると、ヨーロッパからガラス製のビールびんが輸入されるようになり、大正時代中頃にはいると、しょうゆの容器としても本格的に使われるようになりました。
珪砂(けいさ)、石灰、ソーダ灰などからつくられるガラスびんは、陶磁器や木樽と同様に、洗浄すれば再利用できる容器(リターナブル容器)というだけでなく、使用済みのガラス片(カレット)を溶かしてリサイクルできる点からも、非常に環境にやさしい容器です。また、ガラスびんは化学的に安定で、外気を完全に遮断できることから、内容物の保存性には優れていましたが、重くて壊れやすいという欠点も持ち合わせていました。

キッコーマンでも、1918年にびんを導入して以来、工夫を凝らして強度改善や軽量化を進めながら、今でも一部の業務用・加工用製品の容器として使い続けています。

2)金属(缶など)

キッコーマンは、1920年に、しょうゆ(輸出用しょうゆ)の容器としては初めて、1ガロン(約3.8ℓ)サイズの缶を採用しました。
缶も、ガラスびんと同様に、リサイクル性に優れ、環境にやさしい容器です。外気を完全に遮断できるため、内容物の保存性に優れており、ガラスびんに較べると軽くて壊れにくいものの、(後記の「樹脂」に較べると重く)衝撃を受けると変形してしまうことがあります。

輸出用しょうゆ1ガロン缶(1920年発売)
     輸出用しょうゆ1ガロン缶
     (1920年発売)
現在のキッコーマンしょうゆ18ℓ缶
        現在のキッコーマンしょうゆ18ℓ缶



キッコーマンでは、ガラスびんと同様、缶についても、工夫を凝らして強度改善や軽量化を進めながら、今でも一部の業務用・加工用製品の容器(18ℓ缶など)として使い続けています。

3)樹脂(ペットボトルなど)

1977年にキッコーマンが開発した「500mℓマンパック」入りしょうゆ
1977年にキッコーマンが開発した「500mℓマンパック」入りしょうゆ

現在では、酸素の遮断力が強く、しかも衝撃に強く(壊れにくく)、透明度も高いペットボトル製が、しょうゆなどの容器の主流となっています。1977年2月にキッコーマンはしょうゆ容器としてペットボトルを採用しましたが、これが食品業界では初めてのペットボトルの採用事例となりました。

現在のキッコーマンしょうゆ1ℓペットボトル
現在のキッコーマンしょうゆ1ℓペットボトル

キッコーマンでは、採用以降も、樹脂成形メーカーの協力も得ながら、ペットボトルの薄肉化(資材使用量の削減と軽量化)や強度・品質保持能力・リサイクル性などの特性の改良を進めています。

環境配慮型容器・包装の推進

キッコーマングループは、地球環境への負荷が少なく、お客様にとって安全で使いやすい容器の開発を行うとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでおります。

1)エコキャップ

一般家庭などから出される使用済みのペットボトルは、原則として市区町村で回収され、リサイクル業者に販売されて、ペット樹脂のペレット(またはフレーク)に加工され、容器(卵パックなど)や衣料、文房具などさまざまな製品の原材料として再利用されます。キッコーマンでは、こうした再利用を容易にするために、ペット素材ではないキャップや製品ラベルなどを、ペットボトルからはずしやすくする工夫にも力を入れています。

以前のエコキャップ®
以前のエコキャップ®
現在のエコキャップ®
現在のエコキャップ®

たとえば、1999年には中栓をとりはずしやすく改良した「エコキャップ®(商標登録4319133号)」を開発・導入し、その後も、「より使いやすい」「よりとりはずしやすい」機能性を追求して、2002年、2008年にもキャップの形状や仕様を変更しました。また、2000年には製品ラベルも手ではがしやすい接着糊に変更しました。

2)密封ecoボトル

二重構造容器「やわらか密封ボトル(200mℓ)」は、2011年度に開発された次世代容器です。この容器は、しぼりたてのしょうゆの「色」「味」「香り」を開封後90日間常温で新鮮に保つ機能と、しょうゆを一滴から必要な量まで自在に注ぎ分けられる機能をあわせもっています。容器重量は33gと、従来の150mℓガラス製卓上容器(159g)に較べて軽く、しかもこれまで運搬、販売、さらにはご家庭での保管の際にも冷蔵が必要だった「生しょうゆ」を、常温で流通させることができます。2011年8月から発売を開始した「いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ 卓上ボトル」シリーズの容器には、この「やわらか密封ボトル」を採用しています。
2017年度には、この「やわらか密封ボトル(450mℓ)」に、①主素材をポリエチレン(PE)からポリエチレンテレフタレート(PET)に変更、②剥がしやすいラベルと右回しにするだけで簡単に外せるキャップを採用、③従来容器比で10%の軽量化を図ることにより、「使用後の容器を簡単にリサイクルできる」という環境にやさしい特性も付与した「密封ecoボトル」を開発し、2018年2月に発売した「キッコーマン いつでも新鮮 超特選 極旨しょうゆ(450mℓ)」などの製品に使用し始めました。

やわらか密封ボトル(200mℓ)を用いた製品
   やわらか密封ボトル(200mℓ)を用いた製品
   「キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ(卓上ボトル)」
密閉ecoボトル(450mℓ)を用いた製品
      密封ecoボトル(450mℓ)を用いた製品
      「キッコーマン いつでも新鮮 超特選 極旨しょうゆ」


このペット樹脂製二重構造容器「密封ecoボトル」は、2018年8月に東京ガーデンパレス(東京都文京区)で開催された公益社団法人日本包装技術協会主催の「2018日本パッケージングコンテスト」において、「ジャパンスター賞(12賞)」のひとつ「公益社団法人日本マーケティング協会会長賞」を受賞しました。

「2018 日本パッケージングコンテスト」表彰式(2018年8月、東京ガーデンパレス)
「2018 日本パッケージングコンテスト」表彰式
(2018年8月、東京ガーデンパレス)

また、2020年度よりボトルの一部に環境に配慮したリサイクルPET樹脂の使用を開始し、順次、リサイクルPET樹脂を使用した容器に切り替えております。

3)容器・包装の軽量化

キッコーマングループでは、容器包装の軽量化に取り組んでいます。2022年度には、「ステーキしょうゆシリーズ」に用いているガラスびんの重量を約14.7%軽量化しました。

4)容器にFSC(R)認証紙を使用

(FSC認証紙を使用したパッケージ)
(FSC認証紙を使用したパッケージ)

紙製品の容器包装を多く使うキッコーマンは、紙の使用削減、使用する紙の品質向上に注意を払っています。その一環として、キッコーマンソイフーズでは、製造する豆乳製品の紙容器に、FSC認証を取得した紙を使用しています。

  • FSC認証紙:環境や社会に配慮した持続可能な管理を受けている森林から提供された原材料を、適切な加工、流通段階を経て消費者に届けられていることを、世界共通の規格の下に認証されている紙。

5)商品ラベルにバイオマスインキを使用

2019年度より、キッコーマン食品の商品ラベルにバイオマスインキの使用を開始しました。バイオマスインキは、綿、パルプ、米ぬかなどの生物由来の資源(バイオマス)をインキ原料の一部に使用しているもので、これまでの石油由来の原料に頼っていたインキよりも環境に優しいインキです。

6)ラベルレス・トマトジュース発売

2022年5月、日本デルモンテは「食塩無添加トマトジュース」のボトルにラベルをつけることなく(ラベルレス)販売を開始しました(ECサイト限定)。12本入りのケース販売とし、ケースに商品情報をまとめて掲載してありますので、個々のボトルでの商品情報掲載を省くことができました。これにより、これまで個々のラベルに使用していたプラスチック量を削減するとともに、お客様がリサイクルする際の手間を省くことができます。

7)スマートパッケージの採用

日本デルモンテでは、ジュースのギフト用包装箱にスマートパッケージを採用しました。商品を縦置きにコンパクトに包み込んでいますので、お使いいただく際には、置きやすさ、使いやすさ、使用後の処理しやすさが増え、製造側には、紙資源の節約(従来の同価格ギフト比30%削減)、ECO姿勢の見える化、高級感の演出につながるメリットがあります。また取扱店側も、新しい市場の開拓に期待が寄せられます。

8)「キッコーマン豆乳」のキャップ・ストローに植物由来プラスチックを採用

キッコーマンソイフーズ株式会社は、2023年3月より、「キッコーマン豆乳」1000mlのキャップと200mlのストローを、順次(*注)植物由来(サトウキビを原料に使用)のバイオマスプラスチックに変更しています。

  1. ※注ストローは2023年度中に、キャップは2024年度中に切り替える予定
    バイオマスプラスチックは、植物などの再生可能な有機資源を使用した、カーボンニュートラルの特性があるプラスチックです。このストローとキャップの採用により、年間約400トンの石油由来プラスチックの削減が見込まれます。

関連団体との連携・協働

キッコーマンは、ペットボトルリサイクル推進協議会、ガラスびん3R促進協議会、日本容器包装リサイクル協会ペットボトル事業委員会などの企業会員として、容器包装のリサイクルの推進に努めています。

1)「容器包装ダイエット宣言」に参加

容器包装ダイエット宣言

2005年、関東地区の八都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市。後に相模原市も参加して九都県市に)が容器包装を簡略化(ダイエット)してゴミを減らす努力を推進するために発表した「容器包装ダイエット宣言」に発足時から参加し、「環境にやさしい包装資材の使用」、「容器包装の軽量化や分別しやすい資材の検討の促進」などを目標に活動し続けており、現在は、毎年の成果を「九都県市容器包装ダイエット宣言」のホームページでも発表しています。

2)「プラスチック資源循環アクション宣言」に参加

キッコーマングループは、農林水産省が2018年11月から始めた「プラスチック資源循環アクション宣言」に参加しています。
この宣言は、農林水産省がプラスチック製品・容器・包装などを利用している食品製造業、食品流通業、食品小売業、外食産業などの業界団体や企業から、プラスチックごみに関する自主的な方針や取り組み例(削減や再利用、再生利用に関する具体的な活動)を募集し、これらを公表する制度であり、こうしたプラスチックごみが抱える諸問題とその問題に対する対応の重要性を広く社会に周知させ、国民一人ひとりの取り組みをも推進させることを目的としたものです。



「容器・包装の工夫」に関する個々の活動については、「キッコーマングループ 環境保全活動事例集」にまとめてあります。