主な取り組み

地球温暖化防止

キッコーマングループでは、地球温暖化の原因といわれているCO₂の排出量を2030年度までに2018年度比で30%以上削減するという目標を掲げています。この達成をめざして、再生可能エネルギーの活用、プロセス改善、エネルギー効率の高い設備の導入などの施策を推進しています。

再生可能エネルギーの活用

キッコーマングループでは、各部門の使用電力を「再生可能エネルギー由来」のものに切り替えています。
これまでにキッコーマン野田本社、キッコーマン中央研究所、キッコーマン総合病院、生産工場などで使用する電力を順次切り替えており、国内外で多くのCO₂排出量を削減しています。
※2023年3月時点で、20拠点が100%再エネ由来の電力に切替。

キッコーマン野田本社

キッコーマン野田本社

キッコーマン中央研究所

キッコーマン中央研究所

マンズワイン勝沼ワイナリー

マンズワイン勝沼ワイナリー

キッコーマンソイフーズ岐阜工場

キッコーマンソイフーズ岐阜工場

また、キッコーマン野田本社、キッコーマン中央研究所、醸造開発センターでは、使用するガスについてもカーボンニュートラルLNGの活用を開始しました。

 

キッコーマン株式会社は「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」に加盟しています。

さらに工場の屋根などに設置した太陽光発電設備(太陽光パネル)で、太陽光(エネルギー)からクリーンな電力を作り出し、この電力を生産活動に利用することにより、CO₂排出量の削減に努めています。
※2023年1月時点で、4拠点に設置。

キッコーマンフードテック

キッコーマンフードテック

屋根に取り付けた太陽光パネル

屋根に取り付けた太陽光パネル

生産部門での取り組み

キッコーマングループの生産部門は、製造方法、設備類やエネルギー源の見直しを通して、温室効果ガスの削減に努めています。

●新機種の導入

キッコーマン食品高砂工場では、制御方法の改良と機器を更新することでCO₂削減を目指しています。

●冷凍機の更新(2021年3月)2基

冷凍機への冷水入口温度を監視することで冷水タンク内の温度を一定に制御し、効率良く連続運転を可能とする機種を導入し、年600~800t-CO₂削減を見込んでいます。

 

●小型ボイラーの更新(2021年9月)18基中4基

排ガスの廃熱を効率よく回収して再利用する機種を導入し、年20t-CO₂削減を見込んでいます。

 

●原料サイロの集約

キッコーマン食品野田工場では、工場敷地内の大型サイロを多用途使用に改善、原料の貯蔵を集約する事で、敷地外にある大型サイロからの長距離(約300m)空気輸送を取り止め、空気輸送用の大型ブロワーも廃止しました。これにより、これまで大型ブロワー用に利用していた年間94t-CO₂のエネルギーを削減しました。

 

●みりんの仕込タンク、温度管理の変更

流山キッコーマンでは、みりんのもろみ仕込段階で、原料の米を処理する適正な温度が設定できたことと、熟成時間を短くする攪拌方法が確立できたことで、これまで夏季の仕込みに使われていた仕込タンク加温用蒸気が必要なくなり、蒸気製造により発生していた年間約25.8t-CO₂の削減を見込んでいます。

 

物流部門での取り組み

キッコーマングループでは、物流部門(連結子会社の総武物流(千葉県野田市)など)でのCO₂の排出にも注意を払い、削減に努めています。

従来の調達物流

従来の調達物流

一元化した調達・製品物流

一元化した調達・製品物流

2004年5月に、物流配送センター・倉庫を集約して物流体系を組み立て直すことにより、動線の整理(トラック走行の無駄の排除)を行いました。さらに、原材料・資材(大豆・小麦・ペットボトルなど)の調達物流(調達に関する物流)と製品物流(製品の出荷に関する物流)の一元化を進め、一運行当たりの実車率を高めた(空車での運行を減らした)ことにより、物流におけるCO₂排出量を大幅に削減することに成功しました。

製品輸送用トラック(低燃費・低排出ガス車)

製品輸送用トラック(低燃費・低排出ガス車)

 

加えて、低燃費・低排出ガス型のトラックの導入、運転時のエコドライブの徹底などを進め、より一層のCO₂排出量の削減を目指しています。
総武物流は、運輸業界や企業顧客間でも関心が高まっている「グリーン経営認証」(交通エコロジー・モビリティ財団認証)を取得しています。
また、単位輸送量当たりのCO₂排出量が少ない鉄道貨物輸送の積極的な利用も進め、2005年度には社団法人鉄道貨物協会から「エコレールマーク取組企業」の認定を受けました。

製品の鉄道貨物輸送

製品の鉄道貨物輸送

エコレールマーク

エコレールマーク

オフィスでの取り組み

キッコーマングループのオフィスでは、夏期・冬期の冷暖房の室温管理(夏期28℃、冬期20℃)、クールビズ、照明機器の間引き、不使用時の消灯、OA機器などの管理強化、会議のリモート化、社用車などでのエコドライブの徹底、低燃費車種・ハイブリッド車種の導入など、多方面にわたる施策を進めています。

千葉県野田市にあるキッコーマン野田本社ビルは、自然との調和や環境負荷低減を目指す「環境共存型オフィス(サスティナブル・オフィス)」として設計された建屋であり、さまざまな先進的工夫が盛り込まれています。
その建屋は、専門家からも高い評価を受け、2001年には日経ニューオフィス賞のニューオフィス推進賞と千葉県建築文化賞を、2002年には第9回環境・省エネルギー建築賞(審査委員会奨励賞)を、2003年には第4回JIA環境建築賞・優秀賞を、2011年には空気調和・衛生工学会特別賞「十年賞」を受賞しました。

キッコーマン野田本社ビル(事務所棟)

キッコーマン野田本社ビル(事務所棟)

事務所棟(南側の吹き抜け空間)

事務所棟(南側の吹き抜け空間)

野田本社ビルの建屋群は、事務所棟(北棟)と会議室棟(南棟)から構成されています。
東西を長軸とした長方形の事務所棟では、安定した執務環境を確保するために、日射の影響が少ない北側に執務空間を、また南側には吹き抜けのエントランスホールを設けています。また、大きな窓をつけて、自然の太陽光や(通)風を最大限に利用するとともに、昼光センサーによる照明制御システム、日射コントロールのための外部水平ルーバー、断熱強化のためのダブルガラスエアフロー、熱回収型ヒートポンプから得られるエネルギーを用いる温水躯体蓄熱(夏期)・氷蓄熱(冬期)システムなどを採り入れることで、照明や空調などのエネルギー使用量の低減化が図られています。
こうした施策により、建屋での晴天時1日(照明点灯時間6:00~20:30)当たりの照明消費電力は約42%、また年間熱負荷係数(PAL)も約29%削減されています。

さらに、現在も、ラウンジ・エントランス・トイレなどの照明のLED化を通して、省エネ化を進めています。

キッコーマン東京本社

キッコーマン東京本社

「待機電力削減」作戦

「待機電力削減」作戦

また、東京都港区にあるキッコーマン東京本社では、2014年度から、勤務終了後に、約900台のパソコンすべてのコンセントを抜くことにより、待機電力の消費を削減する「待機電力削減」作戦を実施しています。

こうした各社での取り組みは、環境保全推進委員会などの場で紹介することを通して、他の事業所への水平展開が図られています。

キッコーマン総合病院(千葉県野田市)

キッコーマングループは地域社会への貢献活動の一環として、創業の地である千葉県野田市でキッコーマン総合病院を経営してきました。

キッコーマン総合病院 (前面に見えるのは太陽光発電用パネル)

キッコーマン総合病院
(前面に見えるのは太陽光発電用パネル)

2012年に建てられた新しい建屋は、災害発生時にも病院としての機能を維持できるよう免震構造を採用している他、自然採光の活用、太陽光発電(エントランス部にパネル設置)や水資源の効率的な利用(井戸水の活用)、省エネルギー機器の採用など、環境にも配慮したさまざまな工夫が取り入れられています。

社外評価システムの活用

キッコーマングループは、社外団体による調査にも積極的に参加し、得られた自社の環境保全活動に対する評価を利用して、自社の活動の向上につなげるように努めています。
社外評価のひとつであるCDPは、企業に気候変動対策や温室効果ガス削減、水資源保全、森林資源保護などに対する戦略、企業活動が環境や自然資源などに及ぼす影響についての情報開示を求めるとともに、その影響を軽減する対策を取るように働きかけるために設立された非営利団体です。同団体は、主要な国の時価総額が比較的大きい企業に対して回答を求め、その結果を評価(スコアリング)し、公表しています。
キッコーマングループは、2014年度から「CDP 気候変動質問書」に回答し、自社の環境保全活動、特に事業活動に伴うCO₂の排出量の削減などの取り組みが世界的にどのような水準にあるのかを客観的に把握するためのツールとしても活用しています。

「CDP 気候変動 レポート 2021:日本版」に公表された2021年度のキッコーマングループの評価結果(スコア)は、リーダーシップに分類され、A-(Aマイナス)でした。(全世界平均、アジア地域平均、食品工業平均はいずれもB-です。)キッコーマングループの「排出量削減活動」「ガバナンス」に対して高評価を得ました。

CO₂排出量の削減に関する個々の活動については、「キッコーマングループ 環境保全活動事例集」にまとめてあります。

キッコーマングループは、今後もCO₂のより一層の削減を推進してまいります。