食文化に見るしょうゆの包装・容器 その2
しょうゆ容器としての陶磁器・ガラス容器
(4)明治以後の陶磁製しょうゆ容器 (5)ガラス壜
(4)明治以後の陶磁製しょうゆ容器
明治以後も、陶磁器は主に「通 かよ い徳利」がしょうゆ容器として活躍しましたが、その他贈答用しょうゆの容器としても用いられました。現在でも一部、贈答用しょうゆの容器として用いられています。

このような磁器のしょうゆ瓶は、現在でも贈答用しょうゆ容器や高級なしょうゆ容器に用いられることがあります。
(キッコーマン株式会社 所蔵)

昭和10年代初頭に用いられた贈答用しょうゆ容器です。
磁器ですが、樽の形に模して作られています。「しょうゆの贈答には樽詰めのものを贈る」という習慣と、「しょうゆの容器は樽である」という観念が、当時の人々の間にあったと思われます。
(キッコーマン株式会社 所蔵)

当社創立当初に発売された陶器の1.8ℓしょうゆ瓶です。陶製であったため壊れやすく、また、重いという難点もあって、普及しませんでした。
(キッコーマン株式会社 所蔵)
(5)ガラス壜
日本において5世紀の古墳時代に大陸からガラスの製法が伝来して以来、ガラス製品は製造されていました。しかし、明治時代になるまでは容器素材としては一般化しませんでした。これは日本のガラス製造技術が大きく遅れをとっており、丈夫で実用的な製品をつくることができなかったことが要因です。 ガラス壜の使用は、明治になってヨーロッパから輸入されたビール壜から始まりました。しょうゆ容器としてのガラス壜が本格的に使われるようになったのは、大正期以後です。これは、ガラス壜が自動製壜機により安定的に生産できるようになったためです。
ガラス壜は内容物の保存性に優れ(「Panel-11」参照)、洗浄して再利用しやすく、また透明であるため内容物の視認性に優れた容器です。環境について関心の高まっている今日、あらためて注目に値する容器です。

大正期に入って、しょうゆ問屋の国分商店が、しょうゆの大樽からしょうゆを詰め替えて販売した国分商店特製のガラス壜です。このような業者は各地に存在していたと思われます。
(キッコーマン株式会社 所蔵)

キッコーマンは、創立当時(1917年)から 1.8ℓ(1升)入りしょうゆガラス壜を販売してきましたが、その1.8ℓ壜に代えて、1925年(大正14年)に2ℓ壜を発売しました。これは、前年に度量衡法改正(尺貫法の廃止、メートル法の採用)が行われたことが契機となりました。以後2ℓ壜は当社のしょうゆ壜として1994年まで活躍しました。
現在では1.8ℓ壜が使用されています。
(キッコーマン株式会社 所蔵)

このような手ごろな量のガラス壜は、卓上用容器と保存容器を兼ねて用いられています。
- TOP
- 展示の趣旨
- しょうゆ容器の略史
- しょうゆ容器のいろいろ
- 陶磁器・ガラス容器とは(1)陶磁器
- 陶磁器・ガラス容器とは(2)ガラス容器
- しょうゆ容器としての陶磁器・ガラス容器
(1)甕かめ[陶器](2)徳利 とっくり[陶器] - しょうゆ容器としての陶磁器・ガラス容器
(3)コンプラ瓶びん[磁器]とケルデル壜 びん[ガラス] - しょうゆ容器としての陶磁器・ガラス容器
しょうゆの輸出 -コンプラ瓶とケルデル壜がオランダへ- - しょうゆ容器としての陶磁器・ガラス容器
(4)明治以後の陶磁製しょうゆ容器(5)ガラス壜 - しょうゆ容器としての陶磁器・ガラス容器(6)卓上容器 しょうゆさし
- 各種容器によるしょうゆの保存試験
- まとめ
- 参考文献