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いただきますの「こころ」
日本人は農耕民族です。自然の恵み、自然の力をかりて農作物を収穫してきました。そうした歴史のなかから、自然の力なくして生きられないという思いが生まれ、自然という「神」に祈り、感謝の「こころ」が育まれてきたのです。
収穫時には、農作物を神に供え、神と共に喜び、神と共にいただきました。
このとき、神と人をつなぐものが箸です。いまでも、新年や祝いの席では、白木の中太両細の祝い箸を使い、神と共に食して祝います。そこで、祝い箸は「両口箸」ともいわれます。
このような日本人の思いを伝える「五思」として、次のように考えました。
一.
頑張った自分に・・・・・・生活のリズムを整えて過ごしているから、健康で食事ができるのです。朝ごはんを食べて「今日も頑張るぞ!」、晩ごはんを食べて「明日も頑張るぞ!」という気持ちをもちましょう。
二.
家族に・・・・・・働いている家族に、料理を作ってくれた家族に、一緒に食べる家族に感謝を。
三.
社会に・・・・・・食材・食品を販売しているお店の人、そこまで運んでくれた人たち、つまり地域社会のことを思いましょう。
四.
生産者に・・・・・・農業・漁業・畜産などの生産者に感謝を。
五.
食材に・・・・・・料理に使われているすべての食材の命をいただいていることを思いましょう。その命を無駄にしてはなりません。
平成2年11月に行われた大嘗祭(天皇が即位後初めて行う新嘗祭)で使われた神饌用具一式。写真右から両口箸、楊枝、匙、口細箸、杓子、飯杓子、竹の取り箸。
(株)箸勝本店所蔵
キッコーマン『FOOD CULTURE』誌 第11号より転載
T O P
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