
Images
- 写真・グラフィック -

しょうゆのある、我が家へかえろう。
しょうゆのある、 我が家へかえろう。
かえり道がとおく感じるのは、なぜだろう。
ゆき道とかえり道、
ながさはおんなじはずなのに。
どこかの家から、香ばしくこげたしょうゆのかおり。
すっとすいこむと、ぐうううとおなかが鳴った。
のびていく電柱の影とかけっこしながらかえった。
玄関をあけると、とんとんとん、包丁の音。
ぐつぐつぐつ、何かの煮える音。
「おかあさん、ただいま~」と言いそうになった。
ごはんを、なんどもおかわりした。
「子どもがひとりふえたみたい」
妻が笑った、子どもたちも笑った。
かえり道は、はらぺこのあの日にかえる道だった。
和食がある食卓には、なつかしい記憶と、
すこやかな未来があります。
百年の恋は、しょうゆの味がする。
他の作品を見る
これも好きかも
