
Readings
-よみもの-
第10回 小学校低学年の部(作文)優秀賞
コロコロ・心の落花生
“パチパチ”からのはぜる音。教室に広がる香り。いり落花生は、私の心に残る料理です。でも、私はそれを食べた事がありません。
「収かくした落花生をちょう理します。」先生が言った時、ついにその日が来たとがっかりしました。小麦と大豆、かねつ卵と牛乳アレルギーは入学前にこく服したけれど、落花生は今もまだ食べることが出来ません。
収かくも手伝えないので、お母さんと落花生について調べました。花が落ちて土の中で実がなる事、一株にゴロゴロ実をつけると知りますますきょう味がわきました。
(食べたいな。ちょう理したいな。)思いは強くなっていきます。
給食に卵が出る日はお家に帰ってお昼を食べていたと、収かく前に先生も食物アレルギーをもっていた事を教えてくれました。私はハッとしました。クラスにも牛乳や果物アレルギーのお友達がいるけれど、給食の時間はみんなえ顔です。私も元気に登校しようと心にきめました。
フライパンをかたかたゆすり、落花生はコロコロパチパチとにぎやかな音をたてました。クラスのみんなは、リスのようにカリカリ。おいしそうに落花生をほおばりました。
(あまいのかな?食べてみたいなぁ。)香りだけでも楽しもうと鼻をくんくんさせたけれど、おなかの虫はだまされません。ぐうぐう・ぐうぐう、大さわぎです。
(うるさい!うるさい!!)おなかをぎゅっとおさえた時、ゆかをそうじしている女の子がいる事に気づきました。
「アレルギーが出るといけないからね。」にっこりわらったお友達の手には落花生のからがにぎられていました。
すると不思ぎにおなかの虫もしずかになって、心も体も幸せでいっぱいになりました。
(クラス一おいしい落花生を味わったのは、きっと私だ。ありがとう。ごちそうさま。)いり落花生は、心で味わった大切な料理です。
INFORMATION
「コロコロ・心の落花生」
井上 ミモザ いのうえ ミモザ さん(東京都・8歳) 東京学芸大学附属世田谷小学校 2年
※年齢は応募時
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