Readings
-よみもの-
第17回 小学校高学年の部(作文)優秀賞
『初めて知ったおいしいむらさきの食べ物』
紫色の「おいしい」を見つけた日
ぼくにとって、ナスは長い間「一番の天敵」でした。食卓にナスピーマンいためが並ぶたびに、ぼくはナスをさけてきました。あの口の中でふにゃりと崩れる食感と、何を食べているのかよく分からない不思議な味がどうしても受け入れなかったのです。
お母さんが「体にいいのよ」と言っても、ぼくにはどうしても「おいしい」と感じられませんでした。
そんなぼくとナスの関係が変わったのは、去年の夏、お母さんと祖父の畑に行った時のことです。畑にに行くと、そこには、太陽の光を浴びて、パンパンに張った、つやつやのナスが実っていました。「もぎたてが一番おいしい」と祖父が言い、料理を作ってくれました。それは、ふつうの「ナスの素揚げ」でした。パチパチと軽快な音を立てて揚がる様子を見ているとおいしそうに感じられてきました。お皿に出されたナスに、少しだけおしょう油と生姜をそえて、「一口だけでいいから」と差し出されました。恐る恐る口に運ぶと、ぼくの知っているナスとは全く別物でした。外側はかりっとしていて、中はトロリととろけるような甘さがありました。噛むたびにじゅわっと溢れる野菜の旨味に、ぼくは「おいしい」と思わずつぶやいていました。苦手だと思い込んでいたのは、本当のおいしさを知らなかっただけだと気づきました。
今では、お母さんが作る麻婆ナスも大好物です。苦手なものが「おいしい」に変わると、食卓がパッと明るくなったような気がします。
INFORMATION
第17回 小学校高学年の部(作文)優秀賞
『初めて知ったおいしいむらさきの食べ物』
成川 圭(なりかわ けい)さん(東京都・11歳)中野区立平和の森小学校 5年生
※年齢は応募時
『初めて知ったおいしいむらさきの食べ物』
成川 圭(なりかわ けい)さん(東京都・11歳)中野区立平和の森小学校 5年生
※年齢は応募時
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