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-よみもの-

第17回 小学校高学年の部(作文)文部科学大臣賞

割り切れなくてもさんぶんこ

 ぼくの毎日の楽しみ。それは、夕食後のデザートの時間だ。だれからともなく「今日はね。」なんて話し始めて、母と一緒に父のくだらないダジャレに笑う。ぼくは、この時間が好きだ。

 わが家は三人家族で、ぼくはひとりっこ。だから、デザートの分け方には、なんとなくいつもの決まりがある。二個入りのアイスは、両親が一つをはんぶんこして、ぼくが一つ。三個入りのプリンは、一人一つずつ。四個入りのシュークリームは、両親が一つずつで、ぼくのお皿には二つ。

 でも、ぼくだけ多くもらう日は、なんだか少し申し訳ない気持ちになる。「一口食べる?」と聞いてみると、父は「くれるの?」とうれしそうに言う。母は、「全部食べなよ。」と笑う。そんな二人の笑顔を見ていると、ぼくはもうおなかがいっぱいだ。

 「ひとりっこは分け合うことを知らなくてかわいそう。」と言われたことがある。本当にそうなのかな。ぼくだって、分け合うおいしさを知っている。

 ふと、母から聞いたことを思い出す。ぼくには、生まれてこなかった弟か妹がいた。もし、きょうだいがいたら、きっと何でもはんぶんこしていたんだろう。お菓子も、おもちゃも、時にはけんかも一緒に。取り合うこともあったかもしれない。

 それでも今、ぼくは父と母と、三人で毎日の食卓を囲んでいる。足りないからさみしいんじゃない。分け合うことで、たしかに増えていくものがある。アイスもプリンもシュークリームも、さんぶんこ。笑えることも、うれしいことも、思うようにいかないことも、三人で分け合っている。

 ぼくが大好きなアイスの日は、少し多めに食べてしまうかもしれないけれど。それでもきっと、二人は笑ってくれる。きれいに分けられなくても、わが家では今日もさんぶんこだ。

INFORMATION

第17回 小学校高学年の部(作文)文部科学大臣賞
割り切れなくてもさんぶんこ
井原 彪(いはら いぶき)さん(兵庫県・10歳)加古川市立氷丘南小学校 5年生
※年齢は応募時

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