Readings
-よみもの-
第17回 一般の部(エッセー)優秀賞
「ホストファザーの宝物」
飛行機で十時間、私は、今年の春休みにカナダのバンクーバーに行った。カナダでの食事は、パンがメインだった。朝は、トーストかイチゴのジャムをのせたパン。お昼は、レタスとマヨネーズとハムをはさんだサンドイッチ。夜は、ハンバーガー。一日、二日だけなら良かったが、三日目からは、食欲がわかなくなってしまった。カナダの学校で、お弁当を開けて、サンドイッチを見た途端もう、お腹がいっぱいになってしまった。
――お米が食べたい
そう思った。
ホストファミリーと過ごしてから、五日目のお昼のことだった。
「Today, I will cook for you.」
とホストファザーが言った。ホストマザーが隣で微笑んでいる。一時間後、下の階に降りて行くと、テーブルには、チャーハンと餃子が用意されていた。私は、久しぶりのお米に感動し、何度も目をパチパチさせた。ご飯はタイ米だったが、お米のやわらかい触感が歯で噛むほどに感じられて、おいしーいと思った。ホストファザーは、餃子の形がちょっと崩れちゃってごめんねと謝った。確かに、餃子の中の具が皮の外に飛び出してしまっていて、不格好だった。それでも、彼が作ってくれた餃子は、とてもおいしくて私は、ほっぺたをリスのように膨らませながら、幸せな気持ちになった。私が食欲がないことを心配してくれた皆の気持ちも嬉しかった。次に、ホストファザーは、餃子にお醤油とぽん酢をかけた。一口食べて、私は、んーと思わず目をつぶった。これだ。そうだ。これが日本の食べ物だった。お醤油とぽん酢が餃子をさらにおいしくした。
「It is so delicious!」
私がそう言うとホストファザーは、嬉しそうな顔をして、
「These are my treasures.」(これは、僕の宝物なんだ)
と言いながら、小さな冷蔵庫を開けて見せてくれた。中には、お醤油やポン酢、味噌、わさびなどの日本の調味料が入っていた。彼はレストランを開くことが夢だと話した。そして、自分の腕前とこの調味料があれば、人気店になること間違いなしだと得意気に親指を立てて見せた。それから、彼は、
「日本の調味料も漫画もフィギュアも素晴らしいよ。日本人は、物事を丁寧に追及して、最高の物を作る天才だね。」
とほめてくれた。私は、自分がほめられたように嬉しくなった。そして、私は、日本の素晴らしいところを、当たり前のように享受し無意識で通り過ぎていたのだと思った。カナダの良いところをたくさん知ろうと思って行ったホームステイで、日本の素晴らしさについてめいいっぱい味わうことになった。
INFORMATION
「ホストファザーの宝物」
染谷 春花(そめや はるか)さん(茨城県・16歳)
※年齢は応募時
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