Readings

-よみもの-

第8回 小学校高学年の部(作文)優秀賞

お姉ちゃんのお弁当

通知表をもらい、明日から夏休みという日。ただでさえ成績が悪く、落ち込んでいたぼくに、とつぜんお母さんが、「夏休みは自分たちでお弁当を作ってね、材料はあるからね。」と言いました。お弁当を作るどころか、料理の手伝いすらしたことのないぼくは、とほうにくれました。すると、「よし、私が健太朗のお弁当も作ってあげる。」と言ってくれました。ぼくは、お姉ちゃんが神様のように見えました。

お姉ちゃんはぼくより、二つ年上で、いつもお母さんのお手伝いをしているので、料理はとても得意です。お姉ちゃんの作ってくれるお弁当のおかずの中でぼくは、たまご焼きが一番好きです。お姉ちゃんの作るたまご焼きは、しらすやチーズなど、いろいろなものが入っています。だから毎日、たまご焼きの味や具材を想像するのが、学童に行く時の楽しみとなっていました。ほかにも、お姉ちゃんはハムまき、野菜炒め、タコさんソーセージなどが得意で、よく作ってくれます。

そんなお姉ちゃんも、ときどき失敗する事があります。おかずがこげていたり、塩が入りすぎてしょっぱかったこともあります。でも、お姉ちゃんがいっしょうけんめい作ってくれたお弁当なので、ぜんぜん気にならずにいつも残さず全部食べてしまいます。学童からの帰り道、お姉ちゃんは必ずお弁当の感想を聞いてきます。その時は、ぼくは心からおいしかったと伝えます。すると、お姉ちゃんはとびっきりの笑顔を見せてくれます。するとなぜかぼくの顔にも自然と笑みが広がります。

お姉ちゃんは、来年中学生です。中学校は毎日お弁当です。今度は、ぎゃくにぼくがお姉ちゃんにお弁当を作ってあげられるように今からお母さんの手伝いをいっぱいして、料理のうでをみがきたいです。

INFORMATION

第8回 小学校高学年の部(作文)優秀賞
「お姉ちゃんのお弁当」
村田 健太朗 むらた けんたろう さん(東京都・10歳) 墨田区立曳舟小学校 4年
※年齢は応募時

他の作品を読む

これも好きかも

共有

XLINE
おいしい記憶