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-よみもの-

2021年度 CGC賞

お弁当リレー

私のおばあちゃんは、料理上手です。私が料理を好きになったきっかけも、おばあちゃんがよく作って、遠足の時などのお弁当に入れてくれていた「がめ煮」でした。

毎年、私の家ではお正月におばあちゃんが家族それぞれに様々な料理が入ったお弁当をつくってくれます。でも、今年のお正月はお母さんがつくってくれました。お婆ちゃんから秘伝のレシピを教えてもらっているお母さんの姿を見て、「私もつくりたい」と思いました。実際にそのがめ煮を食べた時、衝撃が走りました。幼い頃からずっと食べてきたあの味と全く同じ味がしたからです。おばあちゃんからお母さんに伝わった所を目の当たりにして、「私もつくりたい」という気持ちは、更に大きくなっていきました。

その話をおばあちゃんとお母さんにすると、おばあちゃんが「リレーみたいだね。」と優しい笑顔で私に言いました。正直、私はあまりピンときていませんでした。「どうして料理がリレーになるんだろう」と考えていると、お母さんが「おばあちゃんも、桜咲から見たひいおばあちゃんからがめ煮の味を教わって、おばあちゃんから私、そして私から桜咲に伝わっていくのって、リレーみたいでしょう」とお母さんもおばあちゃんと同じような優しい笑顔で言いました。私は、納得したのと同時に、「料理は人を笑顔にする力があるんだ」と考えました。

そして、実際にお弁当をつくろうと決めた時に、「他になにを入れよう」と考えていると、おばあちゃんと同じようにお母さんが私のお弁当に入れてくれていたハートの形のウインナーが思いつきました。それに、おばあちゃんと育てているキュウリやトマト、私がおばあちゃんとお母さんから「桜咲がつくったのが一番おいしいね。」と言われたことがある、玉子焼きを入れようと思いました。

つくって、おばあちゃんたちに食べてもらったら「おいしいね」と笑顔で言ってくれました。

これからも、おばあちゃんやお母さんのレシピを引き継いで、そこから私の子どもや孫に伝えて、「お弁当リレー」をつなげていきたいと思います。

INFORMATION

2021年度 CGC賞
お弁当リレー
森 桜咲 (明光学園中学校2年)

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