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-よみもの-

2022年度 全日本中学校技術・家庭科研究会賞

マスキングテープとお弁当

私が初めて作った「お弁当」は、いつもお仕事をがんばっている父に向けてのお弁当です。

幼い頃だったので、母に手伝ってもらいながら懸命に父を思いながら作りました。そのお弁当の中身は、たんぱく質を取るためにしょうが焼きに、ビタミンを取るためにブロッコリー、炭水化物にご飯、無機質にひじき、脂質はしょうが焼きに使う油でとりました。

幼い頃は、5大栄養素のことを知らず、母に作るものを決めてもらって作りました。

今になって母がちゃんと5大栄養素を意識して作ってくれていたことに気づきました。

作ってみて大変だったことは、火の調節や材料の大きさ、そして最後のお弁当につめる作業です。火の調節では、卵焼きを巻くのが難しくて、少しこげてしまいました。

材料の大きさではしょうが焼きの玉ねぎを切ったけど、まばらな大きさになりました。そして最後にお弁当につめる作業では、アルミカップや紙カップにつめて、お弁当がゆれても、材料が混ざらないようにつめつめに入れることをがんばりました。

つめ終わったあと、ふたをし、そこにマスキングテープをはって、その上に字を書きました。「お父さんへ。お仕事いつもお疲れ様!!お弁当食べてね。」という、自分が作った記念に、父にあげました。帰って来た父から、ただいまより先に、「お弁当おいしかったよ。」と言ってくれました。

初めて作ったお弁当を、喜んでもらえたので、作ってよかったと心の底から思います。ですが、お弁当箱には、マスキングテープがありませんでした。はがれたりしたのかもしれない。私は少し残念な気もちでいました。

それから数年後、たまたま父の働いている会社に行くことになりました。

私がふいと父の机を見た時、あのマスキングテープが大事そうにはられていました。

それほど喜んでもらえたんだと私はうれしくなりました。

初めての手作り弁当の思い出は、私の宝物です。

INFORMATION

2022年度 全日本中学校技術・家庭科研究会賞
マスキングテープとお弁当
稲永 こはる (志免町立志免中学校1年)

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