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-よみもの-
2022年度 日清オイリオ賞
お弁当の力(2022年度日清オイリオ賞)
お弁当には、不思議な力がある。これは、今回初めてお弁当をつくり、食べてもらって気づいた事である。
私は、今まで自分でお弁当を作ったことなど一度もなかった。毎回のように母に作ってもらっていたし、お弁当のことを深く考えたこともなかった。だからこそ、今回お弁当を作ることにとても苦戦した。メニューを決め調理し、彩りやバランスを考えてお弁当箱へと詰めていく。母は、こんな大変なことを毎日していると思うと頭が上がらなくなった。日々、忙しい中で家族の健康と栄養バランスを考えてお弁当を作る母は、憧れの存在になった。
私は、今回姉にお弁当を作ることにした。姉は介護施設で働いており、コロナウイルスの影響で人手不足になり、とても忙しそうにしている。そのため、お弁当を食べて栄養をとってもらうために作ってみようと思った。栄養満点のお弁当を作るために意識したポイントは、今まで何度も聞いたことがある「赤・黄・緑のバランス」だった。栄養のある食べ物を調べると、最終的には赤・黄・緑の食材が揃い、改めて重要性を感じた。普段、お弁当を作らない私にとっての料理はとても難しかったが、姉が元気になるようにと一生懸命作った。作っていく上で、量を間違えたり見ためが悪くなったりなど戸惑うこともあった。それでも最後まで作って、お弁当に全てを詰めたときは嬉しさと達成感でいっぱいだった。作ったお弁当を姉に渡したら、姉はとても喜んでくれた。姉が仕事から帰ってきて「おいしかったよ。お弁当のおかげで頑張れたよ」と言ってくれた。嬉しくて仕方がなかった。初めてお弁当を作り、そのお弁当が姉の力になれたようで、それがすごく嬉しかった。「誰かの力になる」とはこういうことなのかもしれないと感じた。
私は、お弁当を作り食べてもらってお弁当の力を発見したように思える。作る人は、食べてくれる人を考え一生懸命取り組むことができる。食べる人は、食べただけで不思議と元気になれる。作る人が相手を思えば思うほど、お弁当はおいしくなる。そう思った。また、お弁当をきっかけに会話が広がるのも良いところだと思った。「おいしかったよ。」の一言だけで作った人は救われるのだ。その一言から色々な話題に繋がれば良いことづくしだと思った。私はお弁当が好きだ。「お弁当」という言葉を聞いただけでわくわくするからだ。きっとこのように思えるのも母が毎回毎回、愛情を込めて作ってくれたからなのだろう。もっともっと感謝しなければと思ったしこれからは自分でも作ってみようと思えた。このように思えるのも、お弁当のおかげ。やっぱりお弁当には不思議な力がある。

INFORMATION
お弁当の力
元木 月 (村山市立葉山中学校3年)
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