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-よみもの-

2020年度 特別賞

ママちゃん大スキべんとう

 私はお弁当の日がとても楽しみです。なぜならお弁当の日には、お母さんからの手紙が入っているからです。手紙といっても、メモ用紙に、天気がよくて良かったネーや、たくさん見学してきてネーなど、その日の行事についてのメッセージが書かれているぐらいのものです。
 小学校低学年の頃はみんなのお弁当にも入っていると思っていたので、堂々と見ていたけれど、じょじょにあれ? もしかして私のお弁当にしか入っていない? と気づきました。その時から私は手紙を堂々と見るのが恥ずかしくなりました。友達の中には、私のお弁当に手紙が入っていることを知っている子もいるので、私がお弁当を開ける時に見に来るようになりました。見られることがいやな時は、開けると同時にポケットにさっとしまいます。でも、恥ずかしいなぁと思いながらも、今日の手紙はなんて書いてあるかな?ってうれしい気持ちにもなります。
 高学年になり、仕事で忙しいお母さんのために夕食の下ごしらえをするようになりました。包丁の扱いにもなれてきたので、私がお母さんのためにお弁当を作ることにしました。これが私の初めてのお弁当の日になりました。私が、大好きなおかずは、ピーマンの肉詰めや甘い卵焼きです。でも、まだ料理はあまりできないので、今できるおかずと、甘い卵焼きをたくさんつめました。
 手紙には、いつも決まって書いてあることがあります。それは、「ゆいちゃん大好きよー。」です。だから、私も手紙の最後に同じように書きました。私はお母さんのことをママちゃんと呼んでいるので、「ママちゃん大好きよー。」って書いてお弁当に入れました。お弁当を開けて、手紙を見つけて、読んだらにこっとしてくれるお母さんの顔が浮かびました。いつもこんな気持ちでお弁当を作り、手紙を書いてくれているのかと思うと、何だかぽかぽかした気持ちになりました。お母さんがからのお弁当箱を持って帰ってきたので、
感想をきいてみました。そしたらやっぱりゆいちゃん大好きよー。ありがとうと言ってくれました。私はお弁当箱を洗いながら、またポカポカした気持ちになりました。

INFORMATION

2020年度 特別賞
ママちゃん大スキべんとう
杉浦 ゆいな(名古屋市立東山小学校5年)

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