
Readings
-よみもの-
2020年度 特別賞
拡がれ、お弁当の日!
「キーンコーンカーンコーン」4時限目終了のチャイムが鳴った。「やった」私は心の中でガッツポーズをする。私の一番好きな時間、お弁当の時間が始まるからだ。お弁当箱のフタを開けると出てきたのは、決して上手とは言えないお弁当。でも、私には満足。だって自分で作ったお弁当だから。「いただきま~す。」
小学生の頃はお弁当を持って行くのは遠足の日だけ。給食が苦手だった私は、いつも母が作るお弁当を楽しみにしていた。だから、中学生になって母にお弁当を作ってもらうことを楽しみにしていた。
今年の1月、「お弁当の日」の提唱者である竹下先生の講演会があるということを母から聞いた。「お弁当の日って何だろう?」私は興味をもち、参加することにした。実は、この講演会はPTA の大人向けの講演会だったので、子どもの私は少しドキドキしながら会場へ向かった。竹下先生がお弁当の日について話し始めると私は自分でお弁当を作ることの大切さを知った。そして、「中学生になったら自分でお弁当を作ろう」私はそう決心した。講演最後の質疑応答の時間、私は思わず手を挙げてこの決心を大勢の前で発表した。講演後、竹下先生の本にサインをしてもらった。そこには、『作る楽しさを子どもたちに』と書かれていた。先生は、「この子どもというのはあなたの事ではなく、あなたの子どもの事ですよ」とおっしゃった。
あの日に宣言したとおり、私は毎日お弁当を作っている。お弁当の中身は、たいてい前の日の夕飯のおかず、野菜サラダ。時間に余裕がある時は卵焼きも作っている。コロナ休校期間があったおかげで、家で料理をする時間も増え、卵焼きを作るのもうまくなった。クラスメイトの中にも休校期間で料理を練習し、自分でお弁当を作ってくる子も何人かいる。
これからの中高6年間、毎日お弁当を作り、お弁当の時間に幸せな気持ちになりたい。また、上級生や先生にもこの取り組みを伝え、学校全体でお弁当の日を実施できるといいなと思っている。お弁当の日がもっとたくさんの学校に広がれば、私たちが大人になった時には、料理がきちんとできる大人が増え、食に気をつけて生活する人が増えていると思う。みんなで作ろう、お弁当の日!

INFORMATION
拡がれ、お弁当の日!
辻野 まなカロリナ(東京学芸大学附属国際中等教育学校1年)
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