
Readings
-よみもの-
2020年度 特別賞
母さんの必死な笑顔
この話は、僕が今まで料理をつくってきた中で、一番うれしかった出来事の話です。
現在中学2年生の僕は、小学5年生頃まではあまり料理に興味がありませんでした。なので正直にいうと、その頃まではお弁当の日のおかずなどは母にたよってばかりでした。ですが今では料理が大好きになりました。
ではなぜ僕が料理を好きになったかというと、母の病気によるものからでした。僕の母は昔から体が強い方ではなかったので病気などにかかりやすかったのですが、僕の家は母子家庭なので、母が仕事も家事もすべておこなっていて母にはたくさんの苦労をかけてしまっていました。そのせいで、僕が小学6年生の頃には母が体調をくずしてしまい何度も入退院を繰り返していました。なので母が入院している時の食事は、朝と夜は近所に住む祖母がつくってくれて、学校のない日の昼は自分でつくることにしました。これが僕が 料理に興味を持つきっかけとなりました。
それからというもの、ほとんど料理に手をつけたことがなかった僕は、インターネットで簡単な料理と調べてつくろうと思いましたが、つくっている動画をみてみると簡単といってるわりには難しそうで不安だったけれども、いざやってみると意外とできたり、できなかったり。そんなことを繰り返しているうちにいろんな種類の料理がつくれるようになってきて、その度に「料理ってたのしいな」と思うようになっていきました。そして中学1年生の頃になると母の体調もよくなり、入院することもなくなってきました。そこで僕は今までつくってきた料理を母に食べてもらいたいと思っていたのですが、中学になると部活と勉強ですごく忙しくなり、料理をつくるひまなどありませんでした。すると料理に対する興味もだんだんとうすれていってしまいましたが、冬休みのある日、部活が休みでひまだったので久しぶりに料理をつくろうといざチャーハンをつくろうと思いましたが、料理の感覚をわすれていてうまくできませんでした。ですが3月の自粛生活で僕は何度も料理をつくり感覚を取り戻し、今年の夏までに食べてもらおうと思い、そしてむかえた夏休み、母は顔が麻痺し、動かなくなる病気でまた入院することになりました。ですが今回ははやく退院することができ、僕は母に退院おめでとうという思いで「焦がし醤油チャーハン」をつくると母はすぐに口にして僕に、手で頬を上げ必死に笑顔をみせてくれました。

INFORMATION
母さんの必死な笑顔
山内 晟也(春日市立春日西中学校2年)
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