
Readings
-よみもの-
2022年度 特別賞
鶏からのクリスマスプレゼント
僕は鶏から最高のクリスマスプレゼントをもらったことがあります。
当時、僕と弟で作った鶏小屋で、鶏を七羽飼っていました。僕は鶏の散歩をしたり、鶏糞を取り除いて土を入れたり、冬には六リットルのお湯で凍った水を溶かして水やりをしたりして、愛情をかけて育てていました。
ところが、クリスマスがやってくると、そのうちの二羽をお父さんと弟が絞めました。鶏は首を切り落とされた後も羽でもがいていたので、僕は「もっと生きたい」と訴えているんだろうと感じました。残された若い雄鶏は、父親の鶏と仲間が殺された瞬間から「コケッコッコー」と、悲しそうにずっと泣いていました。あたかも「父さんたち、どこぉ?」と叫んでいるようでした。
その声を聞くまで、「鶏を殺しても残された鶏たちの反応はないだろう」と、思っていました。しかし、そんな事はありませんでした。鶏もとても淋しがっていました。その淋しく、また不安そうな雄鶏の鳴き声を聞くと、僕の胸がとても痛くなり、涙腺が緩みました。しかし、僕には何も出来ることがなく、ただそれを聞いている他にはありませんでした。けれども、僕は必死に二羽の毛をお湯の中でむしり、裸にした鶏をさばきました。
一羽は冷凍保存し、もう一羽はクリスマスディナーとして唐揚げにしておいしく食べました。唐揚げは市販の鶏肉と比べられないほどジューシーで、とても美味しく最高な気分でした。二羽の鶏は小柄でしたが、砂肝が期待以上に大きく、嬉しかったのを覚えています。砂肝は塩胡椒をまぶして焼いて食べました。僕は鶏の部位では砂肝が一番好きで、僕たちで育てた鶏の砂肝を食べることができて幸せでした。
鶏たちのお陰で、命を頂く事の大きさを知り、また命の重みを感じました。従って、普段の食事や給食などでお肉や卵を食べる時には、命を頂いたという意識をもって、感謝して食べていくべきだと学びました。その学びこそが、鶏からの最高のクリスマスプレゼントとなりました。

INFORMATION
鶏からのクリスマスプレゼント
林 圭太(竹富町立鳩間中学校2年)
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