Readings

-よみもの-

2024年度 特別賞

料理男子はかっこいい

 「一年生になったら、みんな、自分でお弁当作るんだよ。」
 保育園の頃は、いつもお母さんが、ぼくの大好きな仮面ライダーのキャラ弁を作ってくれていた。
 でも、小学生になったら、自分で作らないといけないらしい。
 「ぼくにできるだろうか。」
 不安に感じていたぼくに、お母さんは、お弁当作りの三つのヒントを教えてくれた。
 一つ目は手洗いをしっかりする。
 二つ目は赤・黄色・緑を必ず取り入れる。
 三つ目は楽しみながら作る。
 まず、ぼくは石けんできれいに手を洗った。
 エプロンも着けて、準備はバッチリだ。
 緑はきゅうりと塩こんぶの和え物。黄色は甘い卵焼き。赤はミニトマト。大好きなから揚げは絶対に外せない。
 お弁当箱の中に、バランスよくつめるのは、算数の問題を解くぐらい難しい。
 キャラ弁を作っていたお母さんって、本当にすげーなぁと思った。
 学校のお弁当の日。毎回、自分で作ったお弁当を持って行っていたぼく。周りの様子を見ると何かおかしいと思い始めたのはいつだっただろうか。
 耳をすまして、目を見開いて、みんなのお弁当をのぞいて見たけど、1年生から自分でお弁当を作っている人なんて周りにはいなかったように感じた。
 「やられた。」お母さんにだまされ続けて、もう少しで6年になる。
 「お母さんのうそつき。」と、言いたいところだが、逆に、ぼくは、料理の楽しさを教えてくれたお母さんに感謝している。
 何てったって、料理男子はかっこいい。
 お母さん、ありがとう。

INFORMATION

2024年度 特別賞
料理男子はかっこいい
重永 龍乃慎(木城町立義務教育学校みどりの杜木城学園6年)

他の作品を読む

これも好きかも

共有

XLINE
おいしい記憶