Readings

-よみもの-

2025年度 共同通信社賞

魚をいただく

 「小アジを釣ったらからあげにしようよ。」期待しながら朝早く、釣りに出かけた。サビキとオキアミを仕かけて「チャポン、チャポン」と、魚の群れに、釣り糸をたらす。ブルッと振動がくると二秒待って、確実に針をくわえさせてから、思いっきりリールを回した。すると、小アジやイワシが山のように釣れた。近くのおじさんからタイもいただいた。
 帰ると早速、料理を開始した。まず、タイのさし身だ。最初にお母さんがうろこ取りを使って、お手本を見せてくれた。「簡単だ。そしておもしろそう。」でも、実際にやってみると力加減がうまくいかず、魚の背びれが人差し指にささって、けがをしてしまった。泣きそうになったが、どうにかさし身ができた。
 次は小アジのからあげだ。腹の部分を切って、内臓を取り出した。続いて頭を切った。小アジの頭が台所にいくつもあり、ずっと、ぼくを見ているように見えた。小アジにコショウをパラパラとふりかけ、片栗粉をまぶした。それを油なべにそっと入れると、ジュワジュワと音を立てて、こんがりとあがっていった。ときどき、ピチッと油が飛んできた。あれに当たると、やけどをするから、なべからきょりをとった。ウロコや包丁、そして、あげ油に苦戦しながらも、テーブルには、おいしそうな料理を並べることができた。
 「さし身はコリコリして、うまい。小アジのからあげは、ふわふわだ。」自分で作った料理は、格別で絶品だった。夕食は最高だった。
 魚は命がけで釣り糸から逃れようとした。ぼくは、何が何でも釣ろうとリールを巻いた。料理のときに魚と目が合い、ぼくは気づいた。ぼくたちは、たくさんの命をいただいて生きている。釣り、料理、食べる。好ききらいせずに、命に感謝して、何でも食べていきたい。大きな壁にぶつかっても、必死に生きている魚みたいにあきらめずに生きていきたい。

INFORMATION

2025年度 共同通信社賞
魚をいただく
赤瀬川 想太(鹿児島県 鹿児島市立伊敷台小学校5年 )

他の作品を読む

これも好きかも

共有

XLINE
おいしい記憶